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フッ素系コーティング剤による防汚技術、指紋付着低減と耐久性評価

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ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を代表とするフッ素樹脂は、防汚性や非粘着性、耐酸性、耐熱性、低摩擦性などの特異的な機能を発揮し、工業的に非常に有用であることが知られている。しかし、この樹脂は結晶性が高く透明な皮膜が形成できないことや、皮膜を形成するためには高熱が必要なこともあり、透明性が必要な防汚用途に使用するには不可能であった。1)

近年、このフッ素樹脂の特異的なメリットを生かしたままで、常温にて透明な皮膜を形成することのできるコーティング剤が何種類か開発され実用化された。
これらの中でも特に各種素材の汚れ防止や指紋付着の低減に使用できるフッ素系コーティング剤について述べたい。

 

1.フッ素系コーティング剤の防汚メカニズム

フッ素系化合物は、固体物質中最も低い表面張力を持つ物質のグループであり、6-30mN/m程度の低い表面張力を有する。2) 汚れの中でも指紋、皮脂汚れ、水に含まれる汚れが付着してしまう水垢など、液体由来のウエットな汚れは汚れ成分と汚れが付着している表面基材の分子同士が引き合うことによる分子間力で付着していると思われる。

基材にフッ素系コーティング剤を塗布することで表面をフッ素樹脂で覆うことになり、基材の表面張力を大幅に引き下げることができ、このことにより、汚れの付着力を低下させることが可能になる。

この効果は特に汚れを繊維などで除去する際のふき取りやすさとして現れる。大雑把な説明としては、ふき取り易さは基材表面への付着力(W3 図1黄色矢印)と繊維と汚れ(液体)間に働く力(W1 図1 濃黄色)、そして重力(W2 緑色)の3種類の力のバランスによるものである。3)

図1 防汚メカニズム

W3+W2の和が相対的よりW1が十分大きければ、汚れ成分は繊維側に引き寄せられ、表面から汚れが取り去りやすくなる。言い換えると付着表面の表面エネルギーが低ければW2は小さくなるため防汚効果が得られる。

 

2.防汚用フッ素系コーティング剤の種類と特徴

指紋付着低減や防汚に使用されるフッ素系コーティング剤を大別すると下記の2つに分類できる。それぞれについて特性を簡潔に紹介する。

2-1.シランカップリング型防汚コーティング剤

有機フッ素系化合基を有する シランカップリング剤を被膜成分としているタイプ。 塗布された後にガラス・金属などの無機素材とシランカップリング反応により結合し、表面に単分子のフッ素系化合物の層を形成する。

図2 シランカップリング型防汚コーティング剤の構造

シランカップリング反応により無機素材と結合しているためコーティング成分は密着性や摩耗性に優れる。また、単分子の層は10-20nm程度の層厚となるので、肉眼では識別不能であり塗布された素材の外観や光学的特性を損ねることがなく、疵も入らない。さらに、磨耗や老朽化が進んだ場合にコーティング成分が脱離しても、分子レベルでの脱離となるため肉眼では判別できない。このことにより、通常のコーティング膜のように外観が剥離によりみすぼらしくなることもなく、被塗布物の外観上価値を損なうことがない。これらの点からもっとも指紋付着防止用途に適したコーティング剤と言える。

ただし、一般的なプラスチックのように表面に水酸基やカルボキシル基などが存在しない場合はこの結合反応が起こらないため成分の密着ができない。その場合は、前処理剤としてポリシラザンやテトラアルコキシシランなどを用いて、基材表面に無機ガラス質(二酸化ケイ素)の皮膜をあらかじめ作成しておき、その表面をこのコーティング剤にて表面処理する必要がある。

このタイプのコーティング剤が市場に出た当初はフッ素樹脂層の部分として、ペルフルオロオクチル基やペルフルオロヘキシル基などのペルフルオロアルキル基(Rf基)を持つシランカップリングタイプが用いられてきたが、近年、ペルフルオロポリエーテル基(PFPE基)を持つシランカップリングタイプが登場した。性能的には、水の接触角がRf基のもので117° PFPE基のもので110°とPFPE基の方が性能は低いと思われがちであるが、実際の防汚性能やすべり性はPFPE基のほうがはるかに高いため、現在ではPFPE基を持つシランカップリング剤が主流になりつつある。

PFPE基タイプのコーティング剤は、スプレー方式や浸漬など通常のコーティング工法(ウエットプロセス)で塗布できるが、通常、分子量が4000前後であるため真空蒸着法(ドライプロセス)による表面処理も可能である。真空蒸着法はウエットプロセスに比べて耐久性に優れるため眼鏡レンズやタッチパネルなどの指紋付着防止によく利用されている。ただし、この工法は工程コストが高いため、徐々にコスト面の有利なウエットプロセスによるコーティングに移行してきている。特に、スプレーマシンを用いたスプレー工法によるコーティングが良く行われている。

2-2.金属用防汚コーティング剤

前項のシランカップリング型と同じようにPFPE基を持つ反応型防汚コーティング剤で、特に金属表面に対して協力に反応して密着する。前項で紹介したシランカップリング型も金属と反応して密着する構造であるが、それより密着性が高く、塗布された後は耐摩耗性のある防汚性表面が形成される。

前項のシランカップリング型防汚コーティング剤と同様膜厚が10-20nmであるため、塗布皮膜は肉眼では認知できないので、素材の外観を変更することなく防汚性や汚れの除去性を発揮する。写真1は浴室用カランの右半分に塗布し、1ヶ月使用後に汚れを布でふき取った場合の状況である。通常、ふき取りだけでは除去できない水のスケールや洗剤かすなどもこのコーティング剤を塗布した表面では簡単に除去することができる。

このタイプのコーティング剤は樹脂成型用の金型に塗布することで離型剤として作用する。金型表面のエネルギーを低下させるだけでなく、動摩擦係数も0.09以下となることに加えて、連続的に良好な離型性を発揮する。また、膜厚が10-20nmということもあり、ナノインプリントのような金型表面のナノからミクロンレベルの微細な構造も忠実に再現することができる。さらに離型成分がワークに付着しないので、離型後のワーク洗浄が不要となり生産性が大幅向上する。

2-3.UV硬化型防汚コーティング剤

この系には、ラジカル重合タイプのUV硬化型ハードコート剤に添加して使用する添加剤タイプと、すでにUV硬化樹脂や反応開始剤が配合済でそのまま使用できるコーティング剤タイプと2種類ある。いずれも紫外線照射による硬化は硬化スピードが速いことが特徴であるため、ロールtoロールなどでプラスチック・フィルムに高速処理する場合に向いている。

硬化反応はラジカル重合による架橋反応であり、酸素による重合阻害を受けるため、酸素を遮断し窒素雰囲気下での露光工程にするか、通常の環境下では膜厚を厚めにする必要がある。また、塗布後の外観はツヤが出てしまうことが多い。

この系統のコーティング剤は、静止接触角はほかの系統と同様な数値が得られるものの、表面構造がフッ素化合物によって完全におおわれないことにより、指紋付着防止性能は前述の反応型ほど効果が得られないことが多い。なお、弊社製品のUV硬化型防汚コーティング剤(添加剤型)と前項で述べたシランカップリング型防汚コーティング剤との比較を表1に示す。

表1 防汚コーティング剤構造による特性の差

特性項目 フッ素シラン(フロロサーフ FG-5083) UVタイプ(フロロサーフ FS-7020)
塗膜の特性 撥水性 112° 106°
撥油性 66-68° 66-68°
硬度 6H以上(ガラス面) 4H
対スクラッチ性 OK キズ入りやすい。
硬化速度 常温2時間 または 100℃ 60分間 3-5秒( 1kW 高圧水銀灯 距離10cm)
膜厚 0.01μm 2 -10 μm
表面外観 素材外観に影響与えず クリヤコート状 (つやあり)
硬化前の特性 取り扱い時注意事項 特になし 皮膚刺激性(弱)
有害性あり(有機溶剤含有)
引火性 なし 引火性危険物(有機溶剤含有)

 

3.フッ素コーティング剤の磨耗性評価

防汚性や指紋付着低減の実用的な見地より、密着性や耐久性の評価として、摩擦試験機による摩耗劣化ダメージを与えた後接触角を計測することが一般的におこなわれる。本項ではこれらの防汚コーティングの評価方法について述べる。

なお、コーティング膜密着性の試験として一般的なクロスカット試験やテープ試験は、テープの接着力と塗膜の接着力の差を見る形の試験であり、塗膜の表面張力によって結果が左右される。よって撥水撥油処理剤や防汚コーティング剤の密着性試験としては不適切であるため本章では割愛した。

3-1.防汚性の評価

従来、防汚性や指紋付着低減の一般的な指標として水や油による静止接触角が用いられてきた。最近、一部のタッチパネルメーカーでは、水の静止接触角だけで指紋付着防止性を評価しているケースが見受けられる。しかし、水の接触角だけでは実際の皮脂汚れや指紋の付着に関する性能 (指紋の付着の低減、指紋のふき取りやすさ) の正当な評価結果は得られない。これは皮脂を主成分とする指紋成分に比較して水の表面張力が高すぎるためである。

例を挙げるとシリコン系化合物を表面にコーティングした場合はシリコン系化合物の表面張力が24mN/mであるので、水(72.8mN/m)を良くはじき100°以上の静止接触角を得ることができる。しかし、表面張力が近傍にあるパラフィン系物質(22mN/m)などの油性成分ははじくことができない。4)

表2 これはシリコンでは指紋付着防止に対して全く効果が出ないことを表しており、水の静止接触角は指紋付着低減についての性能の評価としては適切ではないことがおわかりいただけると思う。

表2 各物質の表面張力

試料名 γL(mN/m)
n-ヘキサデカン 27.6
n-ウンデカン 24.7
n-デカン 23.9
n-ヘプタン 20.3
72.8
ペルフルオロポリエーテル 12-15
シリコーン化合物 24-30

接触角測定に用いるには、指紋成分に近い物質としてノルマルヘキサデカン、オレイン酸、トリオレインなどを使用することが適切であろうかと思われる。これ以外にも人口指紋液の例としては特許第3745317にも記載が見られる。5)また、JIS-K2246にも人工指紋液の記載も見られるが、これはさび止めの機能評価用であり、油脂成分を含んでいないため防汚性の評価用としては不適切である。

また、実際に防汚コーティングの膜が磨耗などで機能劣化している場合において、油性成分を用いて測定しても高い静止接触角が得られる場合があり、防汚性との相関がない場合がしばしば見受けられる。

日常生活において実際に使用される物体への指紋の付着のメカニズムには必ず動作用が伴っており、汚れの付着エネルギーという観点での評価が必要である。そのための評価としては静止接触角よりも、下記に述べる滑落法動的接触角測定が最適である。当然のことではあるが、動的接触角での測定においても、水での測定よりも油脂成分での測定が必要である。

また、実際に動的接触角を測定してみると、数度のレベルで測定値がばらつくことがしばしば見られる。これは測定物表面(接液面の湿潤や高分子のフリップフロップ現象)や周りの環境(温度、湿度、気流、振動)の変動によって起こると思われる。そのため、同一試料面では5~8回程度の測定を行い平均値と偏差を求めることが望ましい。

 

3-1-1.滑落法動的接触角測定

滑落法による動的接触角測定とは、接触角測定のステージを1°刻みで傾斜させていき、液滴が滑り出す滑落角、液滴が滑っていく状態での前進接触角、液滴の後ろ側の後退接触角を専用の装置にて高速画像処理して求めるものである。図4この3つの接触角と液滴の量を元にして計算することで液滴が固体表面に付着する付着エネルギーを求めることができる。滑落角と後退接触角の数値は非常に指紋付着とよい相関がある。滑落角は低いほど付着エネルギーが低く、後退接触角は高いほど表面張力は低いため、これらの数字が良好な場合は防汚性、特に指紋除去性が高いといえる。

液滴が固体表面より滑落するかどうかは、液が固体表面に付着する力と重力とのベクトルの大きさの差よるものである。図5そのため、正確な滑落角を求めるには測定する液滴の重量を標準化する必要がある。前述の画像処理で滑落法の接触角測定ができる接触角計には投影面積を画像処理で求めた容積を測定する機能が付与されている。

現時点で公的な規格として測定液の容積の値は定められていない。各社がおのおのの基準で設定した容積で測定しているため、単純に滑落角の数値比較は意味がない。なお、参考のため、弊社で実際の測定に用いる数値としては、液温25℃、水25㎕、ヘキサデカン5㎕となる。

図4 接触角計と解析ソフト画面

図5 滑落法動的接触角

3-2.耐摩耗性の評価

一般的には対摩耗試験には摩擦試験機を使用し、摩擦前の接触角と摩擦後との性能比較で行う。
摩擦試験機として、上方より錘による荷重をかけた状態で水平方向に摺動し機械摩擦を加えるタイプ図6が一般的である。動的接触角測定については前項で述べたので、この項では摩擦について述べることとする。

 

3-2-1.ディスプレイメーカーでの評価方法例

一部のディスプレイ・メーカーでは下記の摩擦条件で摩擦を行い、水の静止接触角で耐摩耗性を判断しているケースが見られる。この評価方法の場合は、摩耗素材としてスチールウールを用いることにより防汚処理層が下地の素材ごと削られてしまう可能性があり、評価するべきポイントが異なっているように思われる。また、摩擦試験機へのスチールウールのセット方法が大変難しく、摩擦面の平滑性が得られていないと、部分的に荷重が集中してしまい正しい摩擦結果が得られない。

この平滑性はセットする人の技量にも左右されるため、データの均一化は大変難しい。さらに、水の静止接触角だけでは前述の理由により正確な防汚性の劣化状況を把握することが難しい。これらのことより、試験方法としては望ましいものではないと思われる。表3

表3 摩擦試験評価条件

評価条件例 弊社推奨条件
摩擦素材 スチールウール#0000 ティッシュ・ペーパー
荷重 100g/平方cm 200g/平方cm
摺動速度 45mm/秒 45mm/秒
摩擦サイクル 60rpm 60rpm

 

3-2-2.弊社の提案

弊社では、耐久摩擦試験は独自の基準で行っている。表3 実際に消費者が行う汚れのふき取り行為は、ティッシュ・ペーパーや衣服でのふき取りが一番多いと思われるため、摩擦材料はティッシュ・ペーパーでの摩擦とした。この条件の場合、ティッシュ・ペーパーに付着した剥離防汚コーティング剤成分が摩擦面に再付着する可能性があり、その影響を減らすことと、ティッシュ・ペーパーの破損を予防する意味で、摩擦1000回ごとにティッシュ・ペーパーの交換が必要である。また、相対的に比較評価する場合、荷重を1kg/cm2にして試験に要する時間を短くすることもできる。

また、接触角測定はヘキサデカンでの滑落法動的接触角を行い、さらに次項で述べる簡易評価を併用し、両テストの結果を考慮して防汚コーティングの評価としている。

 

3-2-3.簡易評価 (油性インキ・テスト)

動的接触角計は高速な画像処理を用いる必要があり、結構高価な機器でもある。この装置を使用せずに安価で簡単に防汚性を評価できる方法を紹介する。下記の手順で評価を行う。

  • ① 防汚性皮膜に油性ペンで書き込みをする。
  • ② 30分間室温乾燥させる。(風乾時間によって結果が左右されるので一定化することが必要。)
  • ③ 一定荷重(1kg)(できれば摩擦試験機を用いるのが望ましい)で、インキをティッシュ・ペーパーでふき取る。
  • ④ 所定回数のふき取りでインキの残存状況を観察する。または、完全に除去できるまでに何往復必要かをカウントする。 

なお、防汚性の評価に人間の指紋を用いることは、同一人物でも瞬間的に分泌状況(おそらく成分も)が変化するためにかなり不安定であり、正確な評価は得られない。ここでは指紋成分の代替品として安定入手が容易な油性ペンを用いた。また、当然ではあるが、使用する油性ペン、ティッシュ・ペーパーは銘柄を統一することが望ましい。

3-3.実際の評価例と基準

ここでは、最も一般的なn-ヘキサデカンを用いた滑落法動的接触角での評価例を示す。
弊社製品フロロサーフFG-5083についての耐摩耗性と組み合わせてノルマルヘキサデカンでの静止接触角、後退接触角、滑落角を測定した。図7縦軸がそれぞれの角度であり、横軸が摩擦係数である。測定条件や資料作成については次項を参照されたい。
この評価結果からは対象製品が良好な耐摩耗性を有しているといえる。

また、図8はペルフルオロポリエーテル(PFPE)タイプのフッ素系防汚コーティング剤(フロロサーフFG-5083シリーズ)と、ペルフルオロアルキル(Rf)・タイプのフッ素系防汚コーティング剤との簡易評価と動的接触角での評価である。この評価結果からは静止接触角が防汚性の指標にならないことや、動的接触角と防汚性との相関が見て取れる。

図7 フロロサーフ FG-5083 ヘキサデカン 動的接触角評価結果

図8 防汚性と接触角

静止接触角 後退接触角 滑落角
他社品A
C8 シランカップリング剤
117 101 42
FG-5083
PFPE シランカップリング剤
112 106 6
ヘキサデカン 他社品A
C8 シランカップリング剤
70 66 25
FG-5083
PFPE シランカップリング剤
68 66 11

 

3-3-1.滑落法接触角と摩擦試験を組み合わせた評価方法例

3-3-1-1. 試料作成条件

  • (1) 素材はタッチパネル用強化ガラス または、顕微鏡用スライドガラスを用いる。
    強化ガラスの場合はメーカーやガラスの種類によって、結果が異なることがあるので極力統一化する。
  • (2) 塗布前処理アセトンとヘプタンにて洗浄する。
  • (3) 各防汚コーティング剤の塗布方法は浸漬法もしくはスプレー法で行う。
    塗布方法や条件(塗布量や浸漬の場合の引上げ速度)によっても結果が異なってくるので統一化が必要。
  • (4) 温度100℃ 湿度60%にて60分間 加熱硬化。

3-3-1-2. 測定条件

  • (1) 上記で得られた試料を動的接触角計にて滑落法接触角測定を行う。
  • (2) 測定にはノルマルヘキサデカンを用い、液滴量は5μℓとする。
  • (3) 試料上5ポイントにて測定を行い、平均値を求める。
  • (4) 摩擦前に滑落法接触角を測定し初期値とする。
  • (5) 下記摩擦条件にて所定回数摩擦後にて滑落法接触角測定を行い比較する。
 

3-3-1-3. 摩擦条件

  • (1) 使用素材はティッシュ・ペーパー(4つ折)を使用。
  • (2) 荷重は200g/cm2
  • (3) 摩擦スピードは45mm/sec 1サイクル/sec
  • (4) 1000回摩擦ごとにティッシュ・ペーパーは新品に交換する。

 

3-3-2.簡易防汚試験と滑落法接触角を組み合わせた評価方法

試料の作成方法と滑落法接触角については前項で述べた方法で行う。以下は簡易防汚試験の条件について述べる。

  • (1) 油性ペンで測定面に書き込む。書き込んだ状態を観察する。(写真記録が望ましい)
  • (2) 30分間風乾する。(風乾時間によって結果が左右されるので一定化することが必要。)
  • (3) 摩擦試験と同一条件にて摩擦試験機で4回往復する。
  • (4) インキの残留状況を観察する。(写真記録が望ましい)

 

3-3-3.判定基準

判定基準については、製品の用途やユーザーの品質基準によって異なるものであるが、代表的なものについて述べる。

3-3-3-1. 接触角についての判断基準

接触角について防汚性の判断基準について述べる。
静止接触角はn-ヘキサデカンでの測定数値で50°以下のケースでは撥油性があるとは言いがたい。
滑落角は低ければ低いほど良い。だいたい30°以上の傾斜が必要な場合は防汚性がよくない場合が多い。ただし。この基準は以前にも述べたように測定液の種類や液滴のサイズによって結果が異なるので注意が必要である。
後退接触角も静止接触角に比較して差がすくないものが良い。この差が10°以上ある場合は概ね防汚性はよくない場合が多い。

判定基準については、製品の用途やユーザーの品質基準によって異なるものであるが、代表的なものについて述べる。

3-3-3-2. 簡易試験についての判断基準

油性インキの残り具合について判断するわけであるが、基本的に書き込み時にペンで描けてしまう場合や、摩擦試験機ふき取り4回後にインキが表面に残ってしまう場合はNGとするのが望ましい。

参考文献

  • 1) 三宅晴久、高倉輝夫、フッ素系材料の開発、松尾仁、山辺正顕編集、シーエムシー社、(1997) p46
  • 2) 前川隆茂、フッ素系材料の開発、松尾仁、山辺正顕編集、シーエムシー社、(1997) p137
  • 3) 石井淑夫、 ぬれ技術ハンドブック、株式会社テクノシステムズ(2005)、p17
  • 4) 山口史彦、フッ素化学入門、独立技術法人日本学術振興会フッ素化学第155委員会編、(2005)、p262
  • 5) TDK株式会社 特許第3745317号

*伊藤隆彦 (Takahiko Ito) 株式会社フロロテクノロジー 代表取締役