【毒性があって危険?】フッ素コーティングとは?常温コーティング剤に使われるフッ素樹脂が持つ特性と安全性について解説!
フッ素コーティングを施すことで、塗布した製品の撥水撥油性・防湿絶縁性・防汚性・低摩擦性などを高められます。フッ素樹脂は、有害性が指摘されているPFOS・PFOAとは異なる物質です。フロロテクノロジーの「フロロサーフ」は、フッ素樹脂の特性を安定して発揮できるフッ素系コーティング剤です。
更新:2026.8.15 公開:2019.1.15
フッ素樹脂加工は、多様な特性を持っていることから、問題解決ができる分野も広く、様々な製品機能の向上が期待できます。
一方で「フッ素樹脂は危険」という情報を目にして、不安を感じていませんか?
今回はフッ素樹脂加工の特性の解説に加え、安全性についても科学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。
常温コーティング剤の導入のご参考になれば幸いです。
1.フッ素樹脂加工は本当に危険?消費者の不安に回答!
「フッ素樹脂加工=危険」「フッ素は身体に悪い」という情報を耳にしたことがある人もいるでしょう。しかし、一般に使用されているフッ素樹脂自体に、直ちに健康被害をもたらす危険は悪影響はありません。
SNSや口コミでフッ素樹脂加工に対するネガティブな情報が広がった背景には、一部のPFAS(有機フッ素化合物)で有害性が指摘されていることや、フッ素樹脂を空焚きなどで高温にさらした場合に分解ガスが発生する可能性があることが挙げられます。
そもそもPFASは非常に多くの種類がある化学物質群であり、フッ素樹脂はその一部です。環境への悪影響や人体への有害性が指摘されているのは、PFASのうち「PFOS」「PFOA」「PFH×S」です。これらのフッ素化合物は国際的な規制対象となっており、もちろんフライパンなどの調理器具には使用されていません。
一般的な調理器具に使われるフッ素樹脂はPTFE系であり、PFOS・PFOA・PFHxSとは性質や用途が異なります。PFOS・PFOA・PFHxSは低分子のPFASとして製造・使用の規制対象となっていますが、PTFEは固体で安定した高分子材料として現在も広く用いられています。
このように、「フッ素」と一括りにして危険性を判断するのではなく、どの物質についての情報なのかを分けて理解することが重要です。PFASの安全性と規制については、「フッ素化合物を使用した製品の安全性」で詳しく解説します。
2.多様な特性を持つフッ素樹脂加工とは?
フッ素樹脂は、フッ素原子と炭素原子が結合したユニットを構造内に有する高分子化合物です。フッ素樹脂は特異的な表面特性として非粘着性、耐酸性、低摩擦性、撥水撥油性などに加えて耐熱性を有するため、フライパンやアイロン、薬品用配管の内面などに使用されており、工業的にも利便性の高い表面加工として多方面に利用されています。
一般的なフッ素樹脂加工は、専門の工場で焼き付け型のフッ素樹脂を300℃以上の高温で処理して表面加工されます。
しかし、フッ素樹脂加工については以下のような欠点があります。
- ・塗布加工は、専門工場にて高温下(300-450℃)で施工することが必要です。
- ・プラスチックなど高温に耐えられない基材には施工不可能です。
- ・白濁した被膜になるため、着色には対応していますが、透明な膜は得られません。
このフッ素樹脂加工の欠点を補うべく、専用の分子設計をすることにより開発されたものが「常温型フッ素コーティング剤フロロサーフ」です。 常温型フッ素コーティング剤は、製造現場などで手軽に塗布できるコーティング剤であり、撥水撥油・防汚・防水・防湿・摩擦低減など、フッ素樹脂加工と同様の表面特性(耐熱性を除きます)を、透明な皮膜で得ることが可能です。
常温型フッ素コーティング剤の特性を活かした使用用途としては以下のものがあります。
- ・防湿性防水性やリチウム電池電解液からの耐性が求められる電子部品の基板・回路
- ・衣服や靴を水や汚れから守る防水スプレー
- ・撥油性や離型性を活用した樹脂成型金型用離型剤
- ・タッチパネルの指紋付着防止と滑り感向上
- ・自動車ボディやシートの汚れ付着防止
簡単に塗布できる多様な利便性を持った常温型フッ素コーティング剤は、大きな魅力を持ったコーティング剤と言えるでしょう。
2-1.フッ素樹脂の種類
フッ素樹脂は元素の組み合わせによって、以下のように種類が分けられます。
【完全フッ素化樹脂(パーフルオロ)】
| 名称 |
特徴 |
| PTFE(ポリテトラフルオロエチレン) |
高い耐熱性・非粘着性・耐薬品性を持ち、フッ素樹脂全体で最も高いシェアを得ています。
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| PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体) |
PTFEの特徴に加え、溶接加工や成形加工もしやすい点が特徴です。
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| FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体) |
PTFEよりも耐熱性は低いが、PTFEの室温転移点がなく体積が安定しています。 |
【部分フッ素化樹脂】
| 名称 |
特徴 |
| PVDF(ポリビニデンフルオライド) |
耐化学薬品性もあり、紫外線にも強く工業分野で使用されています。 |
| PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン) |
透明性が高く、水蒸気やガスを通しにくいため化学分野で用いられています。 |
| ETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体) |
強靭で電気絶縁性にも優れ、コーティングや化学タンクなどに使われています。 |
| ECTFE(エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体) |
電気特性や高温下でも強度を保つなどメリットはあるが、日本ではほぼ使われていません。 |
| PVF(ポリフッ化ビニル) |
耐候性が高く、太陽電池のバックシートに使われます。 |
それぞれのフッ素樹脂について、より詳しい説明はこちらのページで解説しております。
フッ素樹脂がどのような分野で使われているか知りたい方は、ぜひ合わせてご覧ください。
3.フッ素樹脂コーティングの主な用途
フッ素樹脂加工は特性が多いことから、下記のような幅広い分野で活用されています。
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食品
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練り機・ロール・焼き型・包装機械 など
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化学
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配管・タンク・バルブ・フィルター・ポンプ など
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自動車
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ペアリング・ブレーキパッド・コンプレッサー・センサー・安全ベルト・電気機器 など
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産業・工業生産
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遠心分離機・ローラー・金型・コンベヤー・運搬機器・攪拌機・ヒートシーラ など
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電子機器・半導体
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基盤・配線・電極・碍子・めっき治具・はんだ治具 など
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家電・OA機器
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電線・摺動部品・定着ロール・分離爪 など
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航空・宇宙
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探査機の機器や配線の保護 など
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医療
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薬品包装・チューブ・バルブ・注射剤のストッパー など
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土木・建築
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電動機器・建築用膜材・外壁塗料 など
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4.フッ素樹脂加工フライパンを安全に使うためのポイント
これらのフッ素樹脂の用途の中で最もメジャーで身近なフッ素樹脂加工されているフライパンについて、正しく使用するためのポイントを挙げてみました。
下記の点について注意しましょう。
4-1.空焚きをしない
フッ素樹脂加工の耐熱温度は450℃です。フライパンを空焚きすることでこの温度を超えてしまい、有毒な化学物質を放出する可能性があります。
食材や油などを加えた状態では、高温になったとしても200℃程度なので、フッ素樹脂が分解する温度を超えることがないため、通常の使用には問題がないことが確認されております。
4-2.Siセンサー搭載コンロに取り替える
まず、フライパンの温度が上がり過ぎないよう使用することが重要です。安全な調理温度の目安は商品にもよりますが、200℃以下です。一般的に炒め物や焼き物、揚げ物であっても、調理に使う温度は最高で180℃程度。通常、有害ガスが発生するほどフライパンの温度が上がることは滅多になく、長時間強火で空焚きにした際に限られます。
長時間の空炊きを防止するには、Siセンサー搭載コンロを使用するのが有効です。2008年以降のガスコンロには、Siセンサーが義務化されており、鍋底の温度が一定以上に達したり、火を消し忘れたりすると自動で消火されます。空炊きは火災にも繋がる危険な状態なので、コンロの取替えを検討しましょう。
4-3.コーティングが劣化したら買い替える
フッ素樹脂加工は使用していくうちに劣化し、剥がれてきます。コーティングが劣化すると本来の性能を発揮できなくなり、汚れや焦げがこびりつきやすくなるため、定期的に交換するようにしましょう。
フッ素樹脂加工をしたフライパンの寿命はそれほど長くなく、1~2年といわれています。「焦げ付きやすくなった」「焼きムラが増えた」「目視でコーティングの剥がれが見られる」という場合は、寿命目安に関わらず早めに交換するほうがよいでしょう。
4-4.コーティングを傷つけない使用・お手入れ・保管を心がける
フッ素樹脂は、柔らかく傷つきやすい性質を持っています。調理時には金属製の調理器具を使わず、フッ素樹脂加工用の調理器具(耐熱ナイロン66やシリコン樹脂などの素材で作られた器具)を使うことでコーティングの傷つきを防止できます。使用後も、硬いたわしやブラシで洗わず、硬くないスポンジを使用するのがおすすめです。保管時もコーティングが傷つかない保管場所・置き方に配慮する必要があります。
その他、高温の状態のフライパンにいきなり水をかけて冷やすのも、コーティングが劣化する原因です。急激な温度変化で収縮が起こり、コーティングの剥がれを早めます。フッ素樹脂加工されているフライパンを洗う時は、十分に温度が下がってからにしましょう。
5.常温型フッ素コーティング剤の説明と特性
フッ素樹脂加工とは異なる分野で、専門業者に依頼することなく簡単に常温でフッ素コーティングが行えるよう、専用の分子設計をすることにより開発されたものが「常温型フッ素コーティング剤フロロサーフ」です。 常温型フッ素コーティング剤は、製造現場などで手軽に塗布できるコーティング剤であり、撥水撥油・防汚・防水・防湿・摩擦低減など、フッ素樹脂加工と同様の表面特性(耐熱性を除きます)を、透明な皮膜で得ることが可能です。
フロロテクノロジーのフロロサーフ®は、モノ造りで発生する多くのトラブルを解決できる、フッ素系コーティング剤・撥水撥油処理剤です。
【特徴】
・多様なコーティング方法に対応しており、室温で乾燥できます。
・「PFOA」「PFOS」に該当する物質は不使用で、安全性に優れています。
・樹脂成分の組成や濃度、使用する溶剤などの仕様変更にも柔軟に対応できます。
・お客様の課題・ニーズに合わせて、専用品の新規開発も可能です。
【用途例】
・マイグレーション防止
・リチウム電池電解液からの保護
・コネクター接続ランド狭ピッチパターンの腐食防止
・基盤の防湿
・リチウム電池電解液からの配線板保護
・ガラス金型・電鋳金型の離型
・押し出し成型のメヤニ低減
・ステンレス製操作盤の防汚
・ディスプレイの指紋防止
・防水スプレー原液
・ローラーの摺動部での異音防止
・光学用フィルムの反射防止
・フラックスの這い上がり防止
・回転軸からの潤滑油流出防止
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特性
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特徴
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撥水撥油性
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・水や油を弾き、表面への付着やしみ込みを抑えやすい
・防汚性の向上にもつながり、素材の美観維持に役立つ
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防湿絶縁性・耐酸性
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・湿気による絶縁低下や回路トラブルを防ぎやすい
・酸性ガスや薬品の影響を受けにくく、金属部材の保護に役立つ
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防汚性
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・汚れや指紋が付きにくく、付着しても落としやすい
・清掃の手間を減らし、きれいな状態を保ちやすい
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屈折率の低さ
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・光の反射を抑え、透過率の向上が期待できる
・光学部品や太陽光パネルなど、光を扱う用途と相性がよい
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低摩擦性
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・表面の滑りがよくなり、動作がスムーズになりやすい
・ビビりや摩耗の抑制、ドライ潤滑用途にも役立つ
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離型性
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・樹脂やゴムなどが付着しにくく、型離れしやすい
・成形作業の効率化や洗浄工程の削減につながりやすい
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5-1.撥水撥油性
「撥水撥油性」とは、水や油を弾く性質のことを指し、主に以下のようなシーンで効果を発揮します。
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・モーターの軸受け油の拡散を防ぎ、ハードディスクの故障防止に役立ちます。
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・絹や綿などの繊維や皮革に撥水・撥油性や防汚性を付与でき、衣服や靴の防水スプレーとして活用されています。
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・木材や大理石への水の浸透を抑え、テーブルの輪ジミ防止に寄与します。
汚れの付着や液体の浸透を抑えられるため、製品の外観維持や内部部材の保護が求められる場面で有効です。一方で、対象素材や使用環境によって必要な性能は異なるため、用途に応じた常温コーティング剤を選定することが重要です。
5-2.防湿絶縁性・耐酸性
常温型フッ素コーティング剤は水分を樹脂皮膜中に含みにくいことから「防湿絶縁性」が高く、また、フッ素原子と炭素原子間の結合エネルギーが高いことで化学変化の影響を受けにくいことから「耐酸性」も高い性能を発揮します。
以下のようなシーンにおいて効果を発揮します。
- ・実装基板上の金属マイグレーションを防止できます。
- ・リチウム電池電解液漏洩時に回路の短絡を防ぎます。
- ・硫化水素、塩化水素などの酸性ガスから金属部分を保護します。
一例としてLED内部の銀メッキ反射板が硫化することによる輝度低下を抑制することができます。
どのような薬品の耐性を持たせる必要があるのかにより、選ぶフッ素コートの仕様が変わります。そのため、事前の打ち合わせが必要なことに注意が必要です。
5-3.防汚性
常温型フッ素コーティング剤の「防汚性の高さ」は、表面張力の低さが関係します。表面張力が低いことにより、汚れの吸着力も低くなるため、汚れが付きにくく除去もしやすくなります。
「防汚性」は主に以下のようなシーンで効果を発揮します。
- ・タッチパネルの指紋が付きにくく、ふき取りが簡単になります。
- ・PCキーボードの黒ずみを防ぎます。
- ・宝石の汚れ付着を防ぎます。
- ・車外装の汚れを防ぎます。
- ・扉やノブ、ガラスへの汚れを防ぎます。
5-4.屈折率
常温型フッ素コーティングの被膜は「屈折率の低さ」が特徴の1つです。これは、光学的な屈折率が低いことで反射光を減らすことができ、透過する光の量を増やせることを意味します。
「屈折率の低さ」は主に以下のようなシーンで効果を発揮します。
- ・製品表面の光の反射を抑えられます。
- ・太陽光パネルの透過率の向上できます。
- ・光学レンズ・プリズムの透過率が向上します。
太陽光パネルなど屋外で使用される製品では、撥水性や防汚性なども同時に備えていることも重要となるため、フッ素コーティングの使用が有効です。
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5-5.低摩擦性
常温型フッ素コーティングを施した表面は、摩擦係数が低くなる「低摩擦性」を持っています。
「低摩擦性」は主に以下のようなシーンで効果を発揮します。
- ・機械などでのスティックスリップ現象(ビビり)を防げます。
- ・ヒンジなどの動きがスムーズになります。
- ・周囲の汚染などの問題で液体潤滑が使えない場合のドライ潤滑に使用できます。
- ・タッチパネル表面の滑り感が向上できます。
摩擦が小さくなることで、部品同士が接触する箇所の動きを滑らかにしやすく、作動時の引っかかりや異音の抑制にもつながります。潤滑剤を使いにくい環境でも、摺動性の向上を図れる点が特長です。
5-6.離型性
常温型フッ素コーティングは粘着性・付着力が低いことから高い「離型性」という特徴を持ちます。樹脂成形用の金型などに利用することで、樹脂やゴムの付着を低減することができ、生産性を向上することができます。
「離型性」は以下のようなシーンで効果を発揮します。
- ・離型性が高く、離型剤の塗り替えなしで連続的に成形できます。
- ・乾性皮膜を形成するため、成形物への付着がなく、成形物の洗浄が不要になります。
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・膜厚が薄いので微細な形状をしている金型でも正確に離型が可能です。
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・再塗布が簡単で、上塗りするだけで離型性を持たせることができます。
より薄い膜厚のフッ素コーティングを選ぶことで、微細な形状をしている金型でも正確に離型が可能となります。製造現場で塗布できる製品であれば、再塗布や金型を追加した際でも簡単に離型性を持たせることができます。
6.フッ素化合物を使用した製品の安全性
メディアなどでPFAS(有機フッ素化合物)に関する報道を目にすると、すべてのPFAS有機フッ素化合物に問題があるように感じてしまいがちですが、毒性が問題視されているのはPFOS・PFOAのような現在規制されている一部の物質です。
最後は、有機フッ素化合物の種類や性質の違いと、安全性に関する考え方について詳しく確認していきます。
6-1.有機フッ素化合物の種類と法的な規制
PFOS・PFOA・PFHxSは、水や油に溶けやすく、体内に取り込まれやすい低分子化合物であるのに対し、フッ素樹脂や常温コーティング剤は、固体で安定しており、水や油にも溶けにくく、体内に取り込まれにくい高分子化合物です。
【低分子・中分子化合物】
低分子・中分子の化合物の多くは室温で液体・気体・粉末の状態をとり、水や油・溶剤に溶けやすい性質があります。そのため、体内に取り込まれやすく、種類や用途によっては健康への影響が懸念されます。
物質例:界面活性剤や接着剤など
【高分子化合物】
高分子化合物は室温下において固体で安定した状態を保ちます。また、水や油・溶剤にも溶けにくいため、生体内に取り込まれることはなく、安全性の高い物質です。
物質例:プラスチック・フッ素樹脂など
PFOS・PFOA・PFHxSは難分解性があるため、環境下に放出された場合、野外環境中に残留する可能性があります。また、PFOAやPFOSについては、発がん性も指摘されており、こうした情報が広く報道されることで「フッ素は有毒」「有機フッ素化合物はすべて危険」といった誤った印象につながっています。
PFOS・PFOAについては、2000年ごろから業界内で自主規制が進められ、使用や製造の中止が進んできました。現在では、これらの物質は各国で法的に使用・製造・輸入などが規制されています。PFHxSについても、国際条約や各国の法規制の対象となっています。
かつては、日本でもフッ素樹脂加工の製造時に乳化剤としてPFOSやPFOAが使用されていた時期がありましたが、現在ではこれらを使用しない製造方法が採用されています。代表的なフッ素樹脂であるテフロンについても、現在はPFOAを用いない製造技術が採用されています。
弊社のフッ素コーティング剤【フロロサーフ・モールドフリー】でも、PFOS・PFOAは含まれていません。
6-2.日本における規制状況
日本において、PFOS・PFOA・PFHxSは、化学物質の製造や輸入を規制する「化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)」で、第一種特定化学物質に指定されており、製造・輸入等が原則禁止されるとともに、使用についても制限されています。
さらに、生活に直結する水の安全を守るため、水道水についてもPFOS・PFOAの基準値が設けられており、合算で1リットルあたり50ng以下と定められています。この基準は2026年4月1日から水質基準として施行されており、環境省は全国的な地下水・河川などのモニタリング調査を行っています。
基準値の超過が確認された地域では、自治体が給水制限や代替水源の確保を実施するなど、水質管理や対策が継続的に進められています。なお、PFHxSについては水道水の要検討項目とされているものの、現時点では水質基準値は設定されていません。
国内のPFOS規制は、国際的な協調の中で進められており、欧米の規制基準や最新の科学的知見をふまえて法律が整備されてきました。
6-3.歯科で使われるフッ素はPFASとは異なる
歯科医院や歯磨き粉に使われているのは無機フッ素化合物であり、PFAS(有機フッ素化合物)とは異なる物質です。虫歯予防を目的として、歯の表面に塗布したり、うがいに用いたりするなど、用法・用量を守っていれば安全に使用できます。
ただし、無機フッ素化合物も大量に摂取した場合は急性中毒を起こす可能性があります。米国小児歯科学会では、急性中毒が起きる恐れのある摂取量の目安を体重1kgあたり5mgとしています。
例えば、日本で市販されている1500ppmの高濃度フッ素配合の歯磨き粉には、1gあたり1.5mgのフッ素化合物が含まれています。中毒が起きる恐れのある40mgのフッ素化合物を摂取しようとすると歯磨き粉をチューブ約27gほど飲み込まなければなりません。通常の使用において、これほどの量を一度に摂取するシチュエーションは想定しにくいでしょう。
「海外では有害だからフッ素が禁止されている」という話を耳にしたことがあるかもしれませんが、海外でも全面的に禁止されているわけではなく、虫歯の予防には広く使用されています。日本でも世界でも、歯科に使われるフッ素化合物に関しては、通常の使用の範囲では危険はないといえるでしょう。
まとめ
フッ素樹脂は様々な性能を同時に付随させることができることから、企業や製品で広く利用されています。また、不安視されがちな安全性についても証明されています。
ここまで紹介したフッ素樹脂加工の特徴や利用例を参考に、製品の性能そのものを向上させられる常温コーティング剤のご利用をご検討いただければ幸いです。
常温環境で簡単に塗布できるフッ素コーティング剤は、フロロテクノロジー「フロロサーフ」のウェブサイトを御覧ください
詳しくはこちらのコラムで説明しております。
この記事を書いた人
技術営業部 営業課長 山本弘志
実務年数
12年
監修範囲
3.常温型フッ素コーティング剤が持つ特性
6.フッ素化合物を使用した製品の安全性
最終監修日
2026.8.15
経歴
1982年生まれ。岐阜県出身。建築関連の会社にてコンクリート製品の品質管理業務に従事。
2013年、フロロテクノロジーに入社。
好きな物:猫、コーヒーゼリー、腕時計
苦手な物:早起き、自動車の運転
この記事を書いた人
代表取締役 伊藤隆彦
実務年数
33年
監修範囲
1.フッ素加工は本当に危険?消費者の不安に回答!
最終監修日
2026.8.15
経歴
1959年生まれ
三重大学で卒研としてフッ素系撥水撥油処理剤の改良合成を行いました。
卒業後コンタクトレンズの会社に就職。
8年間勤めた後、不思議な縁でフッ素化合物の世界に戻ることになりました。
以降業界歴通算33年を超えました。
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