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撥水性は防水・耐水と何が違う?水を弾く原理と性能の判断基準|基板のコーティング剤の選び方|フッ素コーティング剤や離型剤なら【フロロテクノロジー】

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撥水性は防水・耐水と何が違う?水を弾く原理と性能の判断基準

撥水性を考える上で、「防水」「耐水」との違いに疑問を持つ方も多いでしょう。

これらの機能は、具体的にどのような部分が異なるのでしょうか。
また、そもそも水をはじく原理とはどのようなものなのでしょうか。

この記事では、撥水性と防水・耐水との違い、撥水性を求める上で知っておきたい水を弾く原理と評価基準について解説します。

 

1.コーティングの撥水性とは?

撥水の技術は、いまや傘やキャンプウェア商品から電子機器や部品など、水濡れを防止したい素材や製品に対して幅広く活用されています。

今後、撥水性を自社製品に取り入れていきたい企業様もいらっしゃるでしょう。
当項では、撥水性と防水・耐水との違いと、撥水が起きる原理について解説します。

 

1-1.撥水・防水・耐水の違い

まずは撥水・防水・耐水の違いについて見ていきましょう。

〇撥水
「撥水」とは、「素材表面が水を弾く機能」のことを指します。
水が素材表面に吸着することなく、球体となって転がり落ちていく状態が「撥水」で、この性質を「撥水性」と呼びます。
撥水性とは正反対の水に濡れやすい性質を「親水性」と呼びます。
固体自体が親水性表面であっても、撥水性コーティングの施工や撥水性フィルムで覆うことで、塗布面に水を弾く機能を追加することができます。

〇防水と耐水
「防水」や「耐水」は、「水を通さない機能」のことを指します。
言い換えますと素材の内部や裏側まで水が入り込まないようにする状態のことです。
一般的には「防水」と「耐水」の意味や用途に、大きな違いはありません。

〇電気機器における防水と耐水の使い分け
電気機器については、「防水」と「耐水」のそれぞれの使い分けについての定義が「IP規格」に定められております。
IP規格とは「IEC(国際電気標準会議)」で規格化された、電気機器の外装による防水・防塵に関する保護規格のことで、防水性能に対する指標は「IPX▲」で表されます。
下記の表は、「IPX▲」の保護等級を評価している基準です。表左欄が「IPX▲」の▲に当たる数字となっており、数字が大きくなればなるほど、保護力が高くなります。
IPX▲とだけ表示がある場合は、「防水性能のみを表す」という意味となります。

〇製品外部からの有害な影響を伴う水の侵入に対する保護等級
0級 特に保護がされていない
1級 鉛直から落ちてくる水滴による有害な影響がない(防滴I形)
2級 鉛直から15度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない(防滴II形)
3級 鉛直から60度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない(防雨形)
4級 あらゆる方向からの飛まつによる有害な影響がない(防まつ形)
5級 あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない(防噴流形)
6級 あらゆる方向からの強い噴流水による有害な影響がない(耐水形)
7級 一時的に一定水圧の条件に水没しても内部に浸水することがない(防浸形)
8級 継続的に水没しても内部に浸水することがない(水中形)
(出典引用:JQA・一般財団法人 日本品質保証機構「IP 防水試験・防塵試験 」
https://www.jqa.jp/service_list/safety/file/pamph_ip201705.pdf)

各等級の説明末尾カッコ内に記載された記載された形名は旧規定に記載されていたもので、現在は削除されていますが、理解しやすいのであえて記載してみました。

上記の表を元に、一般的に「耐水」と謳われている製品はIPX6以上、「完全防水」はIPX8という表示がなされています。
このことから、防水・耐水は同じ評価基準で判断されている「水を通さない機能」ではありますが、「水を通さないレベル」によって使い分けられているということになります。

ここまでの項を要約しますと「撥水」、「防水」「耐水」の違いは、「撥水」は物体表面の持つ機能で、「防水」や「耐水」は物体全体の機能であることがお分かりいただけましたでしょうか?

 

1-2.撥水の原理について

撥水性が防水性・耐水性とは違うことがわかったところで、続いては「なぜ物質に撥水性が生まれるのか」という原理について考えてみましょう。

〇撥水の原理
表面張力(表面自由エネルギー)は、分子同士が引き合う力です。水分子を例にして考えてみますと、水分子では分子を構成する水素原子と酸素原子が水素結合に強く引き合うため、分子同士が強く結束しています。強力な分子間力が均一に内側に作用するため、水は丸い球体になりやすくなります。
固体表面は表面張力(=分子間力)が大きいほど液体の分子と引き合う力が大きくなります。固体表面に液体を滴下したとき、分子間力が液体分子と固体表面との間に働き、固体表面が液体を吸着しようとします。液体の内部に働く分子間力がこの個体の分子間力より弱い場合は、液体内部に働く分子間力が負けて固体表面上に吸着されて濡れ拡がります。これが固体の表面に液体が濡れてしまう現象のメカニズムです。
逆に固体の表面自由エネルギーが小さいほど、固体の液体を引っ張る力が小さく、液体が固体表面に付着した時に液体の表面張力が優るため、液体は内側に引っ張られて固体表面上で球状に近くなります。この時、固体の表面は濡れにくく、液体をはじく現象が見られます。
具体的な例を挙げますと、水の場合は分子間力が高い(72.75mN/m)ため固体表面でははじかれやすく、エチルアルコール(22.55mN/m)やシリコーンオイル(19-22mN/m)では、固体表面を濡らしやすいということになります。
固体表面にも様々な表面張力があります。たとえばポリエチレンでは31mN/m という表面張力ですので、水ははじくことができますが、エチルアルコールやシリコーンオイルは濡れてしまうことになります。
撥水撥油性が得られるフッ素コーティングでは12-20mN/m (タイプによって異なります)と、固体表面では最も小さい表面張力ですので、ほぼすべての液体が濡れ拡がることがなくはじくことができます。

 

2.撥水性の評価基準|「高い撥水性」とは

ここからは濡れ性・撥水性を客観的な数値で判断していく評価方法を解説していきます。「撥水性が高い」と言われる状態は、どこで判断されているのでしょうか。

 

2-1.接触角と滑落角

撥水性を評価する上で注目すべきポイントが、水などの液体における「滑落角」と「接触角」です。

〇「接触角」
前項で解説した濡れ性と撥水性のような「濡れ」は、下の図のような静止状態での液滴の端での接線の角度「接触角」によって数値化して表すことができます。

接触角が低いほど固体表面は濡れやすく、接触角が高いほど濡れにくくなるため撥水性が高いと言えます。
一般的に、「撥水性」は接触角が90°以上からと言われています。

接触角で撥水性を計測する上で、注意が必要な点は、重力の影響を回避するために液滴のサイズをなるべく小さくし、極力静かに液滴を静置するということです。

〇動的接触角測定
従来は固体表面の表面エネルギーを評価する方法としては。前項の静止状態での接触角を評価基準とすることが一般的でした。が、最近では「それだけでは不十分」といわれるようになり、下記の「滑落角」や「後退接触角」と呼ばれる動的接触角の測定が行われるようになりました。

〇「滑落角」
水平に置かれた固体表面に液体を1滴静置し、その固体表面を少しずつ傾けていくと、どこかのタイミングで、撥水性表面の場合は液滴が表面を滑り落ちます。
この液滴が滑り始めるときの傾斜角が、液体と固体表面の付着力を定量化した「滑落角」です。滑落角が小さいほど、液体と固体表面の付着力が小さく、液体が速やかに転がり落ちることを意味します。

〇「後退接触角」
また、液滴が滑り落ちるときの後ろ側の接触角を後退接触角と呼び、この角度が高いほど「液滴の切れが良い」と評価されます。

撥水性を判断する上で参考にされる「滑落角」や「後退接触角」ですが、これは重力と液滴が表面に吸着している力の大きさとの比較になりますので、データを相対的比較する場合は、測定に使用する液滴の種類と量が一定である必要があります。
動的接触角測定は、最近では前項の静止状態の接触角より、実質的な撥水性や防汚性(汚れの吸着しやすさ)を的確に表しているといえ、これらの性能を評価するうえで。もっとも重要な指標となっております。

 

2-2.超撥水とは

撥水が高い状態を示す場合に、「超撥水」という表現が使われることがあります。

「超撥水」とは、一般的に液体と固体表面との接触角が150°を超えた状態を指します。
実際に超撥水を具現化したのがロータス効果と言われるものです。

〇ロータス効果
「ロータス効果」とは、ハス(蓮=ロータス)の葉が高い撥水性を持っていることに由来します。
ハスの葉の表面には、5~15μmの細かい繊毛が付いており、この繊毛が撥水性を持つことで超撥水性を得ることができます。このロータス効果によって、ハスの葉自体は濡れることなく、表面を綺麗に保つことで光合成や呼吸がスムーズに行えるようにしています。
同じような構造を工業的に再現したのが超撥水コーティングです。物体表面にミクロン単位の凹凸を作り、フッ素系コーティング剤で撥水性を持たせてやると、接触角160度の超撥水表面となります。 実験的には簡単に作成できますが、微細な表面の凹凸構造は壊れやすいため。工業的に実用化できている例は少ないようです。

 

まとめ

撥水性の原理は、分子間力(=表面張力=表面自由エネルギー)が大きく関係しています。

撥水性を高めるためには、固体表面の表面自由エネルギーを小さくすることで、固体表面は濡れにくく、液体が付着しづらい「撥水」状態となります。

自社製品に撥水加工を行うことを検討している企業担当者の方は、予備知識として撥水の仕組みを知り、撥水性について正しく判断できるようにしていただくと有用かと思います。