フッ素樹脂とは?種類・特性・用途をPTFE・PFAの違いから解説
フッ素樹脂は、耐薬品性・電気絶縁性・耐熱性などに優れたプラスチックの総称で、工業分野から日用品まで幅広く使われています。PTFEやPFAを含め、用途や性能の異なる複数の種類があり、高機能な一方で加工の難しさやコストの高さが課題になります。フロロテクノロジーの「フロロサーフ」は、こうしたフッ素樹脂の特性を表面に持たせるフッ素系コーティングです。
更新:2026.10.23
公開:2020.10.31
フッ素樹脂は、工業で広く扱われている素材です。耐薬品性・耐熱耐寒性・表面平滑性・耐摩耗性など優れた性質があるため、さまざまな分野で活用されています。
導入事例
また、フッ素系コーティング剤であるフロロサーフは、フッ素樹脂との共通点を持ちながら、いくつかの違いもある製品で、多くの方から注目を集めています。
この記事では、フッ素樹脂の特徴やフロロサーフとの違い、フッ素樹脂の種類について解説するため、フッ素樹脂の導入を検討されている方はぜひ参考にしてください。
この記事はフッ素樹脂という素材そのもの(定義・種類・特性)の解説です。フッ素樹脂を製品に加工する方法(フッ素樹脂加工と常温フッ素コーティングの違い・メリットデメリット)は下記で解説しています。
フッ素樹脂加工とフッ素コーティングの違い・メリットデメリットはこちら
1.フッ素樹脂とは?
フッ素樹脂とは、蛍石(ほたるいし)を原料としてフッ素を取り出し樹脂化したもので、化学薬品への耐久性や電気絶縁性が高く、高温でも安定しており、不燃性である特徴があります。
フッ素樹脂にはいくつかの種類がありますが、その中で最も有名なのがポリテトラフルオロエチレン(PTFE)です。
PTFEはアメリカ合衆国で第二次世界大戦中に開発され、戦後に工業製品化した経緯があります。現在ではフライパンやアイロンの焦げつき防止コーティングなどに利用されています。
また、フッ素樹脂の成分を一部置換して新しい材料として開発されるなど、より便利で使いやすい材料となるように研究・活用がなされています。
一般的に高価な材料であり、加工するのが難しいという欠点もありますが、特定の用途に対して重要な材料であることには間違いありません。
1-1.フッ素樹脂の原料である「蛍石」とは?
フッ素樹脂のフッ素は「蛍石(ほたるいし)」と呼ばれる鉱石が原料です。
天然の蛍石は含まれている不純物によって緑や紫、ピンクなどの色合いを持ちます。また、ブラックライトを当てると光るという特徴があります。
主成分はフッ化カルシウム(CaF2)であり、鉄などの金属製錬用の材料として欠かせないものです。
フッ素樹脂にはいくつか種類があり、作り方も異なりますが、今回は蛍石からフッ素樹脂の一種であるPTFEを作る方法について説明します。
まずは、蛍石に硫酸を加えてフッ化水素(HF)を作ります。フッ化水素にクロロホルム(CHCl3)を加えて熱分解することでフッ素樹脂になる一つ手前の材料、テトラフルオロエチレン(C2F4)になります。
テトラフルオロエチレンを化学反応によって重合させてフッ素樹脂ができあがります。
1-2.テフロンとは
テフロンはフッ素樹脂の一種であり、化学メーカーであるケマーズ社(旧デュポン社)の登録商標です。そのため、テフロンを製造しているのはケマーズ社のみです。
テフロンが発見されたのは偶然の出来事で、元々は炭素とフッ素からなる冷媒の研究を行っていたところ、ガスボンベ内に白い物質ができていたことが発端です。
テフロンはフッ素樹脂の一種であるため、高い耐熱性や化学的安定性、耐候性を持つ物質です。
一方で、低摩擦性が原因となって加工しづらかったり、加工しづらいことから材料としての価格が高い問題があります。
テフロンが最初に発見されたのは1938年ですが、発見当初は導入コストが高いことから材料としてのニーズは低かったようです。
その後、化学的に安定していることから耐薬品用のパッキンの材料として採用されて以降、各産業で導入されることとなりました。
2.フッ素樹脂の特性をわかりやすく解説
2-1.フッ素樹脂とは(テフロンとの違い)
「テフロン」はフッ素樹脂の一種であり、米国ケマーズ社(旧デュポン社)の登録商標です。そのため、テフロンという名称で製造・販売しているのは同社のみです。テフロンの発見は1938年の偶然の出来事でした。炭素とフッ素を用いた冷媒(フロン)の研究中に、ガスボンベ内に偶然できた白い物質が発端です。発見当初はコストの高さから普及しませんでしたが、高い化学的安定性が評価され、耐薬品用パッキンに採用されたことをきっかけに、あらゆる産業へ普及しました。
2-2.フッ素樹脂の7つの優れた特性(メリット)
非粘着性
表面エネルギーが低いため物質が固着しにくく、付着しても容易に剥がせます。金型や食品製造設備での離型作業や、洗浄の負担を軽減します。
撥水性・撥油性
水や油を玉のようにはじくため、汚れが残りにくく清掃性に優れます。液体が触れる配管や容器の内面、食品機械に有効です。
低摩擦性
摩擦係数が極めて低く、滑らかに動きます。軸受やガイドなど摺動(しゅうどう)部に最適です。特にPTFEは、無潤滑環境にも適しています。
耐薬品性
分子結合が非常に強く、多くの酸・アルカリ・溶剤と反応しません。薬液配管やバルブに必須ですが、薬品の濃度や温度に応じた選定が必要です。
耐熱性・耐寒性
高温でも分子構造が変化せず、極低温下でも機械的特性を維持します。温度変化の激しい環境にある部品に適しています。
電気絶縁性
電気抵抗が高く、誘電率が低いため、高周波の影響を受けにくい安定した素材です。電線被覆やプリント基板に多用されます。
耐候性
紫外線、雨風、湿気、温度変化に強く、屋外で長期間使用しても劣化しません。建築用膜材や屋外配線など、メンテナンスが難しい場所に最適です。
出典: 一般社団法人日本弗素樹脂工業会「ふっ素樹脂の特性」
2-3.フッ素樹脂の課題(デメリット)
加工の難しさと高コスト:摩擦が少なく滑りやすい(低摩擦性)という利点が、裏を返せば「掴みにくく削りにくい」という加工の難しさにつながっています。この加工の難易度の高さが、材料としての価格が高くなる主な原因です
3.フッ素樹脂の欠点
日用品から工業、医療まで幅広く使われているフッ素樹脂ですが、いくつか欠点もあります。
・剛性が低い
剛性とは、外部から加わる曲げやねじりの力に対して歪まない性質です。フッ素は、曲げやねじりの力に弱く、他の素材と比較すると強度が下がる傾向があります。柔軟性が求められるシーンでは利点となりますが、剛性を求めるシーンでは欠点といえるでしょう。
・一部の溶剤に弱い
フッ素は耐熱性や耐薬品に優れた特徴を持ちますが、一部の溶剤に対しては化学反応が起こる可能性があります。例えば、金属水素化合物やアンモニア、アセトン、溶解状態のアルカリ金属などです。化学反応を起こす溶剤と一緒に用いないよう注意が必要です。
・燃焼すると有害ガスが発生する
フッ素樹脂は、高温で燃焼するとき、二酸化炭素や一酸化炭素のほか、フッ化水素やその他の有害ガスが発生します。有毒ガスを吸うと、頭痛やめまい、吐き気などが起きることがあるため、火災リスクが高い場所での使用は避けられています。
・製造コストが高い
フッ素樹脂の種類にもよりますが、シリコン樹脂やポリウレタン樹脂などよりも製造コストが高くなりがちです。適した使用シーンが異なるため他の樹脂で代用したほうがコストダウンになるとは言い切れませんが、不良率によっては利益を圧迫する可能性があります。
4.フッ素樹脂の種類
フッ素樹脂に含まれる主な素材は、PTFEやPFA、FEPなど合計8種類にわけられます。
フッ素樹脂には元素の組み合わせによって多くの種類がありますが、構造は完全フッ素化樹脂と部分フッ素化樹脂の2つに分けられます。
完全フッ素化樹脂(パーフルオロ)は、有機フッ素化合物で炭化水素の水素を全てフッ素に置き換えた構造のものです。
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PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)
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PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)
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FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)
などが完全フッ素化樹脂です。
部分フッ素化樹脂は部分的に水素または塩素がフッ素に置換されているか、炭化水素モノマーと重合反応させてポリマー合成したものを指します。
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PVDF(ポリビニデンフルオライド)
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PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)
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ETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体)
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ECTFE(エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体)
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PVF(ポリフッ化ビニル)
などが部分フッ素化樹脂の例として挙げられます。
フッ素樹脂の各素材は種類によって分子構造が異なり、分子構造に応じた固有の特長・性質を持つため、フッ素樹脂を扱う場合は、各素材の理解が必要です。
製品にもよりますが一般的に完全フッ素化樹脂は非粘着性や耐食性などのフッ素が持つ特性が強い一方で、コストが高く耐久性も比較的低くなるとされます。
部分フッ素化樹脂はフッ素が持つ特性はパーフルオフロと比較するとやや低下する傾向はあるものの、元素の組み合わせによっては耐久性が高くなったり、完全フッ素化樹脂にはない特長が付与されるというメリットもあります。
以下では8種類のフッ素樹脂に関して、名称や特徴、代表的な用途例を解説するため、ぜひ参考にしてください。
| フッ素樹脂の種類 |
主な成形方法 |
用途例 |
| PTFE
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ポリテトラフルオロエチレン(Poly tetra fluoro ethylene) |
・圧縮成形
・液圧(アイソスタティック)成形法
・ペースト押出成形法
・カレンダリング(圧延)成形法
・含侵コーティング法
・ラム押出成形
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・シート
・ビレット
・ビーカー
・パイプ
・丸棒
・押出用原料 など
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| PFA |
パーフルオロアルコキシアルカン(Perfluoro alkoxy alkane) |
・圧縮成形
・押出成形
・射出成形
・トランスファー成形
・回転成形
・ブロー成形
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・フィルム
・シート
・チューブ
・バルブ
・配管類のライニング
・ボルト
・ガスケット
・電線被覆材 など
|
| FEP |
パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(Perfuluoro ethylene propylene copolymer) |
・圧縮成形
・押出成形
・射出成形
・トランスファー成形
・回転成形
・ブロー成形
|
・電線被覆材
・配管材料・変圧器の絶縁フィルム
・お菓子の焼き
・パッキン など
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| ETFE |
エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマー(Ethylene-tetrafluoroethylene) |
・圧縮成形法
・押出成形法
・射出成形法
・トランスファー成形法
・回転成形法
・ブロー成形法
・溶融圧縮成形法
・コーティング法
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・電線被覆材
・コーティング
・チューブ
・化学タンクの素材 など
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| PCTFE |
ポリクロロトフリフルオロエチレン(Polychlorotrifluoroethylene) |
・圧縮成形法
・押出成形法
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・機械部品
・のぞき窓
・医薬品用の包装フィルム
・パイプ など
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| ECTFE |
クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(Chlorotrifluoroethylene ethylene copolymer) |
・圧縮成形法
・押出成形法
・射出成形
・トランスファー成形
・回転成形
・ブロー成形
|
・薬品タンク
・パイプ など
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| PVDF |
ポリビニリデンフルオライド(Polyvinylidene fluoride) |
・圧縮成形法
・押出成形法
・回転成形
・ブロー成形
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・ポンプ
・バルブ
・絶縁剤
・自動車用の部品 など
|
| PVF |
ポリビニリデンフルオライド(Poly Vinylidene Fluoride) |
・圧縮成形法
・押出成形法
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・太陽電池用のバックシート
・屋内外の建材
・屋根の表面材 など
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4-1.PTFE
PTFEの化学名は、ポリテトラフルオロエチレン(Poly tetra fluoro ethylene)です。
高い耐熱性・非粘着性・耐薬品性を持つPTFEは、フッ素樹脂の中で最も多く使用されており、全需要の約60%を占めます。
また、PTFEには懸濁重合品と乳化重合品の2種類があるため、注意が必要です。
懸濁重合品はシートやパイプの圧縮成形に使用され、乳化重合品は、電線被覆などの押出用原料や、コーティング用の材料に使用されます。
PTFEについては、後ほど詳しく言及いたします。
フッ素樹脂の中でも広く使われるPTFEとは?
4-2.PFA
PFAの化学名は、パーフルオロアルコキシアルカン(Perfluoro alkoxy alkane)です。
PFAはPTFEの加工性をより高めるために開発されました。
そのため、PTFEと同様の耐熱性・非粘着性・耐薬品性があり、さらに溶接加工や成型加工も容易な点もPFAの特徴です。
また、PFAは通常品と高純度品の2種類にわけられ、通常品はガスケットや電線被覆材、耐食ライニングなどに、高純度品は半導体部品や液晶部品に用いられます。
4-3.FEP
FEPの化学名は、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(Perfuluoro ethylene propylene copolymer)です。
FEPも、PFA同様、PTFEの加工性を高めるために開発されました。
PTFEと比較して耐熱性に劣りますが、PTFEにある室温転移点がFEPにはない点が、FEPの長所となっています。
FEPの主な用途例は、電線被覆材や配管材料をはじめ、変圧器の絶縁フィルムやお菓子の焼き型、パッキンなどにも使用されます。
4-4.ETFE
ETFEの化学名は、エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマー(Ethylene-tetrafluoroethylene)です。
FTFEは、テトラフルオロエチレンとエチレン共重合体から作られます。
ETFEの特徴は力学的に強靭で、電気絶縁性・耐放射線性も兼ね備えている点です。
ETFEは、FEP同様に電線被覆材やコーティング、チューブなどに使用されることが多く、耐食用の膜厚が厚い性質を活かして、化学タンクの素材にも使用されています。
4-5.PCTFE
PCTFEの化学名は、ポリクロロトフリフルオロエチレン(Polychlorotrifluoroethylene)です。
PCTFEは、トリクロロトリフルオロエタンをメタノール中で脱塩素化することで、合成が可能です。
PCTFEの特徴に、透明性・耐薬品性・耐衝撃性・耐食性・耐放射線性の高さが挙げられます。
また、PCTFEは水蒸気やガスに対する透過性が低いことも特徴です。
そのため、PCTFEは、ベアリングなどの機械部品やのぞき窓などを中心に、医薬品用の包装フィルムや、腐食性が強い薬液のパイプにも使用されます。
4-6.ECTFE
ECTFEの化学名は、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(Chlorotrifluoroethylene ethylene
copolymer)です。
ECTFEは、エチレンとクロロトリフルオロエチレンの重合技術によって得られます。
ECTFEの特徴は、優れた電気特性・耐放射線性・耐化学薬品性と、高温環境下でも機械的強度を損なわない点です。
また、ECTFEは、薬品タンクやパイプ、バリア性が必要な部品のコーティングに応用ができます。
しかし、現在の日本では、ECTFEはほとんど使用されていません。
4-7.PVDF
PVDFの化学名は、ポリビニリデンフルオライド(Polyvinylidene fluoride)です。
PVDFは、ビニリデン単量体を重合化することで得られます。
PVDFの特徴は、機械的な強靭さや耐化学薬品性を持ち、紫外線の放射にも耐性がある点です。
PVDFは溶融加工や成形も可能なため、ポンプやバルブ、絶縁剤や、自動車用の部品・化学工業用のパイプにも使用されます。
4-8.PVF
PVFの化学名は、ポリビニリデンフルオライド(Poly Vinylidene Fluoride)です。
PVFは、フッ化ビニルを重合することで得られます。
PVFの特徴は機械的強度や耐候性の高さが挙げられ、ほかのフッ素樹脂にみられる耐熱性や耐薬品性も備えています。
また、太陽電池用のバックシートは、PVFの主な用途例と言えるでしょう。
特にシート状のPVFは、金属や木材、プラスチックに貼ることで、屋内外の建材や屋根の表面材にも使用できます。
4-9.まとめ表
主なフッ素樹脂の種類を表にまとめました。
| 種別
|
名称 |
特長 |
最高使用温度 |
| 完全フッ素化樹脂 |
PTFE |
非粘着性・撥水・撥油・低摩擦性・耐薬品性。
フッ素樹脂の中でも最も多く使用されている。
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260℃ |
| PFA |
PTFEに匹敵する特長を持ちつつ、溶融成形が可能など加工性が高い素材。
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260℃ |
| FEP |
溶融押し出し成形・射出成形・トランスファー成形に対応
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200℃ |
| 部分フッ素化樹脂 |
ETFE |
絶縁性・対放射線性に優れ、力学的にも強靭な素材
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150℃ |
| PCTFE |
耐薬品性・耐食性に優れ、透明性が高いのでベアリングや包装フィルムなどに使用される。
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120℃ |
| ECTFE |
硬さがあり、弾性率も優れている。難燃性も高いため、強度が必要な場面で使用される。
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150℃ |
| PVDF |
硬度があり、フッ素樹脂の中では最も誘電率が高い。
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150℃ |
| PVF |
耐熱性・対候性・染色性に優れ、様々な製品の表面をコーティングするのに使われる。
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4-10.フッ素樹脂4種の使い分け(PTFE・PFA・FEP・ETFE)
代表的なフッ素樹脂であるPTFE・PFA・FEP・ETFEは、耐熱性・透明性・成形性などが異なるため、使用温度や製品形状、必要な特性に応じて選び分けます。
低摩擦性や耐熱性を重視する場合はPTFE、同等の耐熱性を保ちながら溶融成形したい場合はPFAが候補です。透明なフィルムやチューブにはPFA・FEP・ETFEが用いられ、200℃程度の耐熱性が必要な場合はFEP、機械的強度や成形性を重視する場合はETFEが適しています。
ただし、使用温度や外観、コストはグレード・厚み・加工方法によって異なります。選定時はメーカーの仕様書や見積もりも確認しましょう。
PTFEコーティングの特性・工程はこちら
5.フッ素樹脂とPFAS規制の現状
PFASをめぐる規制は国内外で進んでいますが、すべての有機フッ素化合物が同じ性質やリスクを持つわけではありません。フッ素樹脂の位置づけや、PFOS・PFOAなど規制対象物質との違いを正しく理解したうえで、使用地域や用途に応じた確認が必要です。
PFAS規制の概要とフッ素樹脂の扱い、フロロサーフにおけるPFOS・PFOAの使用状況を見ていきましょう。
5-1.PFAS規制の概要
PFASは、炭素とフッ素が結びついた構造を持つ、多数の有機フッ素化合物の総称です。なかでもPFOS・PFOAは、環境中で分解されにくく、健康や環境への影響が懸念されることから、日本では化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)により製造・輸入・使用が原則として禁止されています。
なお、EUでは、フッ素樹脂を含む広範なPFASを対象としたREACH規則上の制限案が審議されています。2026年8月時点では、欧州化学品庁のリスク評価委員会が最終意見を採択していますが、包括的な規制はまだ成立していません。今後、社会経済分析委員会の最終意見や欧州委員会での審議を経て、具体的な規制内容が決まる予定です。
出典: 環境省「有機フッ素化合物(PFAS)について」
5-2.PFAS規制におけるフッ素樹脂の位置づけ
PFASは、定義によってはPTFEやPFAなどの高分子のフッ素樹脂も含みます。ただし、高分子であるフッ素樹脂と、規制対象になっている低分子化合物であるPFOS・PFOAは、分子量や物性が異なる別の物質です。
高分子のフッ素樹脂は、分子量が大きく、水に溶けにくいうえ、体内に吸収されにくいことから、通常の使用状態では人の健康に影響を及ぼさないとされています。一方、PFOS・PFOAなど一部の低分子PFASは、環境中に残りやすく、体内にもたまりやすいため、長期的な健康への影響が懸念されています。
そのため、PFOS・PFOAを使用していない製品であっても、PTFEやPFAなどのフッ素樹脂を使用していれば、広義にはPFASを含む製品に該当する場合があるのです。
しかし、現在の日本においては、PTFEやPFAなどのフッ素樹脂は、化審法で指定されているPFOS・PFOAの規制対象には含まれていません。
出典: 一般社団法人日本弗素樹脂工業会「PFASに関するQ&A」
PFASにはさまざまな種類があり、分子の大きさや性質によって規制上の扱いも異なります。PFASの概要と代表的な物質の特徴を以下にまとめました。
5-3.フロロサーフはPFOS・PFOAフリー
フロロサーフは、特殊なフッ素樹脂を溶剤に溶かしたフッ素系コーティング剤であり、PFOS・PFOAに該当する成分は使用されていません。ただし、高分子のフッ素樹脂を使用しているため、フッ素樹脂まで含める広義の定義では、PFASとして扱われる場合があります。
製品を選定・使用する際は、「PFASフリー」と一括りにするのではなく、使用する国・地域や用途に適用される規制と、その対象物質を確認することが重要です。
5-4.PFASフリーの撥水剤で代替できる範囲
PFASフリーの撥水剤には、シリコーン系や炭化水素系など、フッ素を使用しないタイプがあります。衣料品や雨具など撥水性を目的にする用途では、水をはじく性能はフッ素系ほど高くないものの、代用は可能です。
ただし、油をはじくことができないため、油汚れのシミ付着防止や潤滑油の拡散防止など、撥油性や防汚性まで求められる用途では、フッ素系コーティング剤が選択肢となります。
油をはじく仕組みはこちら
6.フッ素樹脂の用途のまとめ
フッ素樹脂の特性は多く、化学・半導体や、自動車・工業、食品、医療、土木など幅広い分野で活用されています。
・調理器具への使用
表面に食材がくっつきにくくなり、耐久性が上がるため
・金属やプラスチックへの使用
耐薬品性・耐摩耗性・耐久性・低摩擦性があるため
・電線やケーブル、コンデンサーへの使用
絶縁性を持たせるため
・医療器具への使用
薬品と化学反応を起こしにくく、表面を滑らかにして体内に挿入しやすくなるため
・屋外の建築物や海洋構造物への使用
耐候性・不燃性・自浄性があるため
今後も、航空・宇宙産業や再生可能エネルギー、3D印刷技術など最先端技術への活用が期待されています。
6-1.フッ素樹脂を活用している業界
フッ素樹脂は非粘着性・撥水性・耐熱性・電気耐性などに優れていることから、今日の工業には欠かせない素材のひとつとなっています。
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化学
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配管・バルブ・フィルター・タンクなど。
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自動車
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コンプレッサー・センサー・安全ベルト・電気機器など。
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工業生産
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ローラー・金型・コンベヤー・運搬機器など。
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家電
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電線・摺動部品など。
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ガジェット関係
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ディスプレイコーティング・基盤・配線など。
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半導体
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半導体の耐薬品加工などに。
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配線ケーブル
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電力供給・通信用等屋外用の配線の保護など。
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エネルギー産業
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探査/掘削作業・熱交換機など。
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航空/宇宙
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探査機の機器や配線の保護など。
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医療
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薬品の包装・医療用のチューブ・注射剤のストッパーなど。
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軍事
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軍用機器・通信機器・軍用レンズなど。
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食品
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パンや製菓の機械器具・ロール・包装機械など。
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清掃
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掃除用器具・防汚加工など。
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農業
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農業用器具・芝刈り機など。
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土木/建築
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電動機器・建築用膜材・塗料など。
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このように、多くの分野や業界でフッ素樹脂が利用されています。
今後もフッ素樹脂の市場は緩やかに成長を続けると予測され、2027年までには年平均成長率4.3%で伸びるとされています。
6-2.フッ素樹脂分野別使用状況
フッ素樹脂は多くの業界で使用されていますが、その割合は分野によって差があります。
こちらのグラフでまとめた通り、最もフッ素樹脂を使用しているのは半導体分野であることが分かります。
次いで自動車産業、産業用機械など精密さや耐久性、耐薬品性などが求められる分野でフッ素樹脂が多く使用されています。
6-3.半導体製造装置での用途
半導体製造装置では、薬液を送る配管や継手、バルブ、ウェハ搬送用のキャリアなどにPTFE・PFAなどのフッ素樹脂が使用されています。
薬液に触れる部品では、強酸や強アルカリに耐える耐薬品性に加え、薬液への不純物の混入を抑えることが重要です。PFAはチューブや複雑な形状の部品に成形しやすく、薬液を扱う設備に幅広く用いられています。
6-4.自動車部品での用途
自動車では、燃料系統のシール材や配管、変速機などの摺動部にフッ素樹脂が使用されています。
燃料に触れる部分では耐薬品性や燃料の透過しにくさが、摺動部では摩擦を抑える低摩擦性や耐熱性が求められるためです。また、金属製プーリーのように、部品の表面にフッ素系コーティング剤を塗布して摩擦や異音の低減を図るケースもあります。
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6-5.電気電子機器での用途
電気電子機器では、電線やケーブルの被覆材、プリント基板に使用する絶縁材料などにフッ素樹脂が使われています。
電気を通しにくい絶縁性に加え、耐熱性や高周波でも安定した電気特性が求められるためです。さらに、実装基板を水分や腐食から保護するために、フッ素系コーティング剤を表面に塗布する方法もあります。
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6-6.医療機器での用途
医療分野では、カテーテルの内側に使うチューブや、薬液を扱う容器などにフッ素樹脂が利用されています。
チューブでは表面の滑りやすさや柔軟性、容器では薬品と反応しにくい耐薬品性が重視されます。ただし、医療機器に使用する材料には用途に応じた安全性や適合性の確認が必要であり、すべてのフッ素樹脂が医療用途に適しているわけではありません。
6-7.調理器具での用途
フライパンや炊飯器の内釜には、食材の焦げ付きを防ぐため、PTFEなどのフッ素樹脂を使ったコーティングが施されています。
フッ素樹脂は非粘着性や耐熱性に優れており、調理器具の表面加工に適した素材です。一般的には、フッ素樹脂を含む塗料を表面に塗布し、加熱・焼成して皮膜を形成する焼成型の加工が用いられています。
7.フッ素樹脂の中でも広く使われるPTFEとは?
PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)はフッ素樹脂全体の半数以上の需要を占める、熱可塑性プラスチックのひとつです。
元々は、アメリカのデュポン社のR.J. プランケット博士がフロンガス関係の研究をしていたところ、フロンの重合反応によって発見されました。
1944年にデュポン社によって商標登録された際の「TEFLON®」(テフロン®)という名称が広く認知されていますが、テフロン®=PTFEです。
第二次世界大戦中には軍用として用いられ、戦後工業化されフライパンなどの調理器具やコーティング材・離型剤などの日用品にも使用されるようになりました。
7-1.PTFEの特性
先ほどもご紹介したように、PTFEは耐熱性・非粘着性・耐薬品性などに優れています。
それは分子構造によるものが大きく、PTFEは炭素と水素が結合しているのですが緊密でシンメトリーという独自な原子配列と高分子量によって電気的に安定しているのが特長です。
炭素との結びつきの強さは水素・酸素・塩素などと比較しても非常に強固で、熱や紫外線など外部からの影響を受けにくいのです。この特性が耐熱性・耐薬品性・耐候性の高さとして現れています。
また、高周波の影響を受けにくいことから電気特性にも優れており、絶縁材としても使用されます。
また、フッ素樹脂は分子同士が引き合う力が弱く表面張力は低め。水や油のように分子同士が引き合う力が強く、表面張力が高い水や油を弾きます。(=撥水性・撥油性)
7-2.フッ素樹脂の成形・加工方法
フッ素樹脂は、種類によって適した成形・加工方法が異なります。
例えば、PTFEは融点を超えても溶融粘度が非常に高く、一般的な熱可塑性樹脂のように溶かして流し込む成形には向いていません。そのため、粉末状の材料を圧縮したうえで焼成する方法が主に用いられます。
一方、PFA・FEP・ETFEは加熱によって溶融させられるため、押出成形や射出成形などが可能です。
〇圧縮成形法
画像引用元:ふっ素樹脂の成形方法 | JFIA
一般社団法人 日本弗素樹脂工業会
PTFEの粉末を金型に入れ、プレスして予備成形をしてから焼成するという方法です。
板やシート、ビレット状に加工する際に用いられます。
〇液圧成形法
画像引用元:ふっ素樹脂の成形方法 |
JFIA 一般社団法人
日本弗素樹脂工業会
ゴム膜のように伸縮する膜と液圧の力でPTFEの粉末を圧縮して成形する方法です。
ビーカーや槽など、口が広いタイプのパーツの成形に適しています。
〇ラム押出成形法
画像引用元:ふっ素樹脂の成形方法 | JFIA
一般社団法人 日本弗素樹脂工業会
PTFEの粉末をキャビティの中に入れ、ラム棒で圧縮して押し出しながら焼成・冷却する方法です。
丸棒などの製品を作る際に使用されます。
この他にも、パッキンなどを作る自動予備成形、シートにフッ素加工を施すための含侵コーティングなどがあります。
〇溶融押出成形(PFA・FEP・ETFE)
PFA・FEP・ETFEを加熱して溶融させ、金型から連続的に押し出して成形する方法です。チューブや電線被覆、フィルムなど、連続した形状の製品を作る際に用いられます。
〇射出成形(PFA・FEP・ETFE)
溶融させた樹脂を金型内に射出して成形する方法です。継手やバルブなど、複雑な立体形状の部品を効率よく成形する際に用いられます。
〇常温コーティング
常温コーティングは、成形済みの部品や各種素材の表面にフッ素系コーティング剤を塗布し、撥水性・撥油性・防湿性などの機能を付与する加工方法です。樹脂そのものの形状を作る圧縮成形・押出成形・射出成形とは異なり、既存の製品や素材に表面機能を加える目的で用いられます。
高温での焼成が難しい電子基板・ガラス・繊維・皮革などにも施工しやすく、薄く透明な皮膜を形成したい場合の選択肢となります。
7-3.PTFEの主な用途
PTFEは低摩擦性・耐薬品性・耐熱性・電気絶縁性を備えており、機械部品から化学設備まで幅広く使われています。
摺動(しゅうどう)部品
摩擦係数が小さく滑り性に優れるため、オイルレスベアリング・軸受・スライディングパッドなどに使用されます。耐摩耗性が必要な場合は、充填材入りPTFEが選ばれることもあります。
シール材
耐薬品性や耐熱性を生かし、ガスケット・パッキン・Oリング・バルブシートなどに利用されます。薬液や腐食性流体を扱う装置の密封部にも適しています。
電気絶縁材
高周波領域でも電気特性が安定しているため、電線や同軸ケーブルの被覆・絶縁スリーブ・プリント基板などに使用されます。
耐食ライニング
多くの薬品に対して安定しているため、配管・ホース・タンクなどの接液面を保護する耐食ライニングに用いられます。金属と腐食性流体の接触を防ぎ、設備の腐食を抑えます。
PTFEをコーティングとして使う場合はこちら
8.フッ素樹脂加工について
フッ素樹脂加工とは文字通り、フッ素樹脂を加工し使用することですが、主には基板の防水など工業用として使用されることが多いです。
一般的にはあまり聞きなれない言葉に感じますが、身近でも使われているものがあります。
わかりやすいもので紹介するとフライパン・鍋などのコーティングです。
加工方法は様々ですが、どれもフッ素樹脂加工している物がほとんどです。一般的には「テフロン加工」と呼ぶこともあります。
フライパンや鍋をフッ素樹脂でコーティングすることにより耐摩耗性が向上し、食材がくっついたり焦げ付いたりすることを防いでくれます。
また、約-200~400度に耐えられると言われているため、耐熱性にも優れており、汎用性が高く日常でも活躍しています。
8-1.フロロサーフとの違い
フロロサーフは、株式会社フロロテクノロジーの「フッ素系コーティング剤・撥水撥油処理剤」です。
フッ素樹脂とフロロサーフの共通点に、撥水・撥油性や防水・防湿性、汚れ防止などの性質があります。
フロロサーフの使用により、製造や加工などの作業工程で起こるさまざまな問題を解決できます。
ただし、フッ素樹脂とフロロサーフは工法や特性の一部が異なっているため、使用の際は用途・目的に応じて、適切な素材を導入することが大切です。
フッ素樹脂とフロロサーフには、次のような違いがあります。
〇供給形状
フッ素樹脂の供給形状は樹脂の粉体ですが、フロロサーフは特殊なフッ素樹脂を溶解した液体です。
〇施工工程
フッ素樹脂の施工は粉体塗装ののち加熱焼成で行われます。プロレベルのスキルや専用の設備が必要です。耐熱性のない素材には施工することができません。
フロロサーフは、液体ですので通常の塗料と同じように、刷毛塗り、どぶ漬けやスプレーガンなどで簡単に塗布でき、常温で乾燥させるだけです。スキルに自信がない方でも専用の設備なしで施工できます。また、耐熱性のない素材にも施工可能です。
塗布方法の詳細はこちら
〇被膜の外観や膜厚
フッ素樹脂の被膜外観は白色不透明で膜厚は5~100マイクロメートル程度です。
一方、フロロサーフの被膜外観は透明で、膜厚は0.01~40マイクロメートル程度となっています。
〇耐熱性
フッ素樹脂の耐熱性は約400度に対し、フロロサーフは熱可塑性タイプの耐熱性が80~120度、熱硬化タイプの耐熱性が200~250度となっています。
フロロサーフ用のフッ素樹脂は、蓄積された加工技術をベースに合成されています。
そのため、特性のコントロールや膜厚制御、使用する溶剤の変更など、さまざまな仕様変更が可能です。
PTFE加工とフロロサーフ施工の板に水滴を垂らし、弾き方や転がり方の違いからフッ素系コーティング剤の撥水性能を比較・実証している動画です。
8-2.シリコーン樹脂との違い
フッ素樹脂加工とシリコーン樹脂加工は、どちらも耐熱性や耐候性、電気絶縁性、撥水性などを付与する目的で使用されます。
ただし、フッ素樹脂加工は非粘着性・耐薬品性・撥油性にも優れており、薬品への耐性や汚れの付着しにくさが求められる用途に適しています。
| フッ素樹脂加工 |
シリコーン樹脂 |
- ・非粘着性
- ・耐薬品性
- ・耐熱性
- ・耐候性
- ・電気絶縁性
- ・撥水性
- ・撥油性
|
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これに対してシリコーン樹脂加工は、耐熱性・耐候性・撥水性・電気絶縁性に優れ、フッ素樹脂よりも安価な点が特徴です。一方、耐薬品性はフッ素樹脂加工ほど高くなく、使用する溶剤によっては膨潤やひび割れが生じる場合があります。
薬品や油への耐性、非粘着性を重視する場合はフッ素樹脂加工、コストを抑えながら耐候性や撥水性を付与したい場合はシリコーン樹脂加工が選択肢となります。
まとめ
フッ素樹脂は化学的に安定した構造を持ち、優れた性質を発揮する素材です。
耐熱性・耐薬品性・電気絶縁性・非粘着性などの性質があるため、フッ素樹脂はさまざまな産業で使用されています。
また、フッ素系のコーティング剤であるフロロサーフは、フッ素樹脂と共通の性質を持つ製品です。
フロロサーフは施工に特別なスキルや設備が不要のため、簡単に導入できます。
フッ素樹脂やフロロサーフの利用に興味がある方は、それぞれの特徴と違いを正確に把握したうえで、自社サービス・商品に適した素材を導入してください。
フッ素コーティング剤(フロロサーフ)の製品詳細はこちら
この記事を書いた人
技術営業部 後藤盛吉
実務年数
9年
監修範囲
2.フッ素樹脂とは?特性をわかりやすく解説
5.フッ素樹脂の中でも広く使われるPTFEとは?
最終監修日
2026.8.2
経歴
1988年生まれ、沖縄県出身。
大学進学を機に愛知へ。
大学卒業後は愛知で教育関係の職に携わり、2016年にフロロテクノロジー入社。
この記事を書いた人
代表取締役 伊藤隆彦
実務年数
33年
監修範囲
1.フッ素樹脂とは?
最終監修日
2026.8.2
経歴
1959年生まれ
三重大学で卒研としてフッ素系撥水撥油処理剤の改良合成を行いました。
卒業後コンタクトレンズの会社に就職。
8年間勤めた後、不思議な縁でフッ素化合物の世界に戻ることになりました。
以降業界歴通算33年を超えました。