プリント基板コーティングとは?目的・種類・材料別の選び方を解説
 
フッ素コーティング剤や離型剤なら【フロロテクノロジー】

プリント基板コーティングとは?目的・種類・材料別の選び方を解説

フロロテクノロジーの「モノ造り」におけるコラムです。

フッ素コーティング剤や離型剤なら【フロロテクノロジー】フッ素コーティング剤や離型剤なら【フロロテクノロジー】

 
   防汚、撥水、防湿などの問題解決の サポートをさせていただきます。
080-3630-4914
 
●技術的なお問合せや納期確認など各種お問合せの担当者直通ダイヤルです。

プリント基板コーティングとは?目的・種類・材料別の選び方を解説

更新:2026.6.29   公開:2026.6.29

電子基板の保護方法として検討される基板コーティングですが、「どの材料を選べばいいのか」「どこまで必要なのか」「コストに見合う効果が得られるのか」といった点で迷うことは少なくありません。

基板コーティングは、湿気や塩害、薬品、汚れなどの影響から基板を保護し、回路の絶縁性を維持するための処理です。不具合を未然に防ぐための予防設計として採用されます。ただし、用途や使用環境によって必要性や適した材料や施工方法は異なります。

本記事では、基板コーティングの基本情報から、材料ごとの違い、選び方、施工時の注意点までを解説します。
フロロテクノロジーの「フロロサーフ」は、薄膜かつ常温乾燥で基板に防湿性を付与できるフッ素系コーティング剤です。


この記事は基板コーティングの目的・材料の種類・選び方・施工方法の解説です。
コーティング剤そのものの種類や製品ごとの特徴は下記で解説しています。
プリント基板用防湿コーティング剤の種類・特徴はこちら


 

1.基板コーティングとは

基板表面にハロゲン成分(塩素など)が存在する場合、空気中の湿気と反応して基板上の銅パターンから銅イオンが析出し、電子と結びつくことで銅に戻る現象(イオンマイグレーション)が発生します。このイオンマイグレーションが繰り返されることにより新たに銅の配線ができてしまうことがあります。空気中の湿気と銅パターンの接触を防止するために絶縁性の樹脂で実装基板をコーティングすることが行われます。

また、実装基板上のほこりや結露水などの汚染物質から保護し、電流リークを防止する意味でもコーティングが必要になってまいります。

特に信頼性が要求される自動車用基板、業務用機器基板や下記のような劣悪な条件で使用される機器の基板にはこのコーティングが必要になります。

  • ・湿度が高く、結露が発生しやすい環境
  • ・海沿いや屋外など、塩害や腐食の影響を受けやすい環境
  • ・油分や薬品にさらされる工場・製造現場の環境
  • ・ホコリや粉塵が多く、異物が付着しやすい環境
  • ・温度変化が大きく、基板に負荷がかかりやすい環境
  • ・メンテナンスしにくく、長期間安定した動作が求められる環境

 

2.基板コーティングの目的・効果

基板コーティングには、湿気や粉塵、薬品などの外的要因から基板を保護し、安定した動作を維持する役割があります。主な目的・効果として、防湿・防塵、絶縁性の確保、耐薬品性、機械的な保護の4つが挙げられます。

 

2-1.防湿・防塵

基板コーティングは、湿気や結露、ほこり、粉塵などが基板表面に付着・侵入するのを抑えます。水分や異物を十分に防げない場合、銅配線の腐食やイオンマイグレーション、短絡などが起こり、機器の誤作動や故障につながる恐れがあります。

 

2-2.絶縁性の確保

コーティングによって導電部を絶縁性の被膜で覆うことで、隣接する回路間の電流リークや放電を抑えられます。絶縁性が低下すると、漏れ電流や短絡が発生しやすくなり、基板の動作が不安定になったり、部品が損傷したりする原因となります。

 

2-3.耐薬品性

工場設備や車載機器などでは、油分・溶剤・酸・アルカリなどの薬品が基板に触れる可能性があります。用途に適したコーティング剤で表面を保護することで、薬品による配線やはんだ部、部品の腐食・劣化を抑え、基板の性能低下や故障を防ぎやすくなります。

 

2-4.機械的な保護

コーティング被膜は、振動や軽微な衝撃、摩耗などによる基板や実装部品への負荷を和らげる役割もあります。保護が不十分な場合、繰り返しの振動などによってはんだ接合部や部品に応力がかかり、クラックや接触不良につながることがあります。

 

3.基板コーティング剤の種類と特徴比較

基板コーティング剤には複数の種類があり、それぞれ得意とする性能や適した使用環境が異なります。ここでは、代表的な材料を耐熱性・耐薬品性・薄膜性・リワーク性・コストの5つの観点で比較します。

種類 耐熱性 耐薬品性 薄膜性 リワーク性 コスト
アクリル系 低〜中 低 高 高 低
ウレタン系 中 中〜高 中 低 中
シリコーン系 高 中 中 中 中〜やや高
エポキシ系 高 高 低 非常に低 中
フッ素系 高 非常に高 非常に高 高 高

※本表は一般的な目安であり、製品によって異なる場合があります。

 

3-1.アクリル系

アクリル系は、最も一般的で導入しやすいコーティング材料です。乾燥が速く、スプレーや刷毛など簡易的な施工方法にも対応できるため、試作や小ロットでも扱いやすい点が特徴です。薄膜で均一に仕上げやすく、初めて基板コーティングを導入する場合にも選択されやすい材料といえます。 一方で、耐薬品性や耐久性はそれほど高くなく、油分や溶剤が付着する環境では性能が低下する可能性があります。また、長期間の使用では被膜の劣化が進みやすく、厳しい環境条件下では保護性能が十分に維持できないケースもあります。 そのため、屋内機器や比較的環境負荷の低い用途、軽度な防湿対策を目的としたケースに適しています。コストを抑えながらコーティングを導入したい場合や、メンテナンスやリワークを前提とする用途で採用されることが多い材料です。

 

3-2.ウレタン系

ウレタン系は耐薬品性に優れており、油分や溶剤が付着する環境でも安定した保護性能を発揮します。被膜の密着性も高く、外部からの汚染に対して比較的強い耐性を持つため、工場設備や産業機器などで採用されることが多い材料です。

一方で、硬化後の被膜は強固で、除去が難しいという特性があります。そのため、修理や改修の際には作業負荷が高くなりやすく、リワーク性は低い傾向があります。また、施工条件によっては厚膜になりやすく、膜厚管理にも注意が必要です。

このような特性から、メンテナンス頻度が低く、長期間そのまま使用する前提の機器や、薬品・油分の影響を受けやすい環境での使用に適しています。コストと耐環境性のバランスを取りたい場合に選ばれる傾向があります。

 

3-3.シリコーン系

シリコーン系は耐熱性と柔軟性に優れており、温度変化が大きい環境でも安定した性能を発揮します。被膜が柔らかく、熱膨張や振動によるストレスを吸収しやすいため、クラックが発生しにくい点が特徴です。

一方で、他の材料と比べて表面が柔らかいため、物理的な摩耗や外的なダメージにはやや弱い傾向があります。また、塗布後の表面状態によっては汚れが付着しやすくなる場合もあり、使用環境によっては注意が必要です。

このような特性から、車載機器や電源基板など、温度変動や振動の影響を受けやすい環境での使用に適しています。その他、耐熱性と柔軟性を重視したい場合にも選ばれます。

 

3-4.エポキシ系

エポキシ系は硬く強固な被膜を形成し、防水性や耐衝撃性に優れる点が特徴です。外部からの物理的ダメージや水分の侵入を防ぐ性能が高く、機械的強度を重視する際に適しています。

一方で、被膜は厚くなりやすく、一度硬化すると除去が非常に困難です。そのため、リワークは非常に困難であり、修理や部品交換が必要になった場合の対応が難しくなります。また、柔軟性が低いため、応力がかかる環境では割れや剥離のリスクも考慮する必要があります。

このため、長期間固定して使用する機器や、外部からのダメージを受けやすい環境での使用に適しています。メンテナンス性よりも強度や耐久性を優先する用途で採用される材料です。

 

3-5.フッ素系

フッ素系は薄い被膜であっても高い防湿性能を発揮します。そのため軽量機器の重量増加を抑えることが可能になります。また、放熱的にも有利になります。
さらに耐酸性があり、リチウム電池の電解液に耐性があり、リチウム電池近辺の基板保護によく使用されます。

フッ素系は非引火性のため、塗布作業現場での危険物取扱所認定や設備の防爆が不要など安全管理面が他の樹脂コーティング剤に比べ軽微で済みます。


フッ素コーティング剤や離型剤ならフロロテクノロジーのフロロサーフをご覧ください。
https://www.fluorotech.co.jp/

 

4.基板コーティング剤の選び方

コーティング剤の選定は「使用環境」と「優先する性能」によって決まります。重要なのは、すべての性能が高い材料を選ぶことではなく、必要な性能に優先順位をつけて、用途に適した材料を選択することです。

湿気対策のみであれば、アクリル系でも対応可能です。ただし、結露が発生する環境や長期使用を前提とする場合は、フッ素系などより安定性の高い材料が適しています。

工場内のように油分や薬品が付着する環境では、ウレタン系またはフッ素系が候補になります。コストを抑える場合はウレタン、性能を優先する場合はフッ素系が選ばれます。

温度変化が大きい環境では、シリコーン系が適しています。柔軟性があるため、熱によるストレスを吸収しやすく、長期的な安定性につながります。

また、修理や再加工の可能性がある場合は、リワーク性の高いアクリル系やフッ素系が適しています。一方で、防水性や強度を最優先する場合は、エポキシ系が選択肢になります。

 

5.基板コーティングの施工方法

基板コーティングは膜厚によって絶縁や耐マイグレーション性が左右されるため、一定の膜厚でコーティングする必要があります。そのためには工法を十分検討する必要があります。

 

5-1.スプレー塗布

スプレー塗布は、コーティング剤を霧状にして吹き付ける方法で、均一な膜を形成しやすく、量産にも対応しやすい施工方法です。広い範囲を効率よく処理できるため、最も一般的に採用されています。

 

5-2.ディップ(浸漬)

ディップ(浸漬)は、基板全体をコーティング液に浸す方法で、複雑な形状でも全体を均一に覆いやすいのが特徴です。スプレーに比べて膜のばらつきを抑えやすく、安定した被膜形成が可能です。

 

5-3.刷毛塗り

刷毛塗りは、刷毛や筆を使って手作業で塗布する方法で、小ロットや試作、部分補修に適しています。必要な箇所にだけ塗布できるため、マスキングを最小限に抑えられる点がメリットです。

 

5-4.自動塗布(ディスペンサー)

自動塗布(ディスペンサー)は、専用装置を用いてプログラム制御で塗布する方法です。必要な箇所に必要な量だけ塗布できるため、材料ロスを抑えつつ高精度な膜厚管理が可能です。量産時に品質を安定させたい場合に適しています。

 

6.基板コーティング施工時の注意点

基板コーティングの性能を十分に発揮させるには、塗布方法だけでなく、施工前後の管理も重要です。続いては、基板コーティングを施工する際に確認しておきたい6つのポイントを見ていきましょう。

 

6-1.塗布前の前処理

基板表面にほこりや油分、フラックス残渣などが残っていると、コーティング剤がしっかりと密着しない可能性があります。塗布前に洗浄や乾燥を行い、被膜を均一に形成できる状態に整えておくことが重要です。

 

6-2.膜厚の管理

基板コーティングは、膜厚によって絶縁性や耐マイグレーション性が左右されるため、適切な厚さで均一に塗布する必要があります。

スプレーでは噴霧距離や角度、ディップでは液だまりや垂れ、刷毛塗りでは作業者による塗布量の違いなどが膜厚のばらつきにつながるため、施工方法に応じた管理が必要です。

また、端部や部品の影では被膜不足、部品の根元やエッジでは過剰塗布が生じることもあるため、表面だけでなく細部まで仕上がりを確認しましょう。

 

6-3.マスキング(コネクタ・端子の保護)

コネクタや接点など、コーティング剤の付着が不具合につながる箇所は、あらかじめマスキングして保護します。特にスプレーやディップは意図しない箇所にもコーティング剤が付着しやすいため、塗布範囲を事前に確認することが重要です。

マスキングが不十分な場合、コーティング剤が不要な箇所まで回り込み、接触不良などにつながる可能性があります。

 

6-4.乾燥・硬化の条件

塗布後は、使用するコーティング剤に適した温度や時間で十分に乾燥・硬化させる必要があります。液だまりや過剰塗布があると乾燥状態にも差が生じやすいため、膜厚とあわせて仕上がりを確認しましょう。

 

6-5.作業環境(換気)

スプレー塗布ではコーティング剤が周囲に拡散しやすく、使用する製品によっては溶剤蒸気も発生します。安全データシート(SDS)を確認し、必要に応じて換気や局所排気を行うなど、適切な作業環境を整えることが大切です。

 

6-6.塗布条件の設定・確認

自動塗布では、塗布経路や吐出量などの条件設定が品質に直結します。設定が適切でないと塗り残しや過剰塗布が複数の製品で発生する可能性があるため、導入時や基板形状・部品配置を変更した際は、試作を行って条件を調整することが重要です。

 

7.フロロサーフによる基板コーティング

フロロサーフは、実装基板や電子部品の保護用途に使用できるコーティング剤です。薄い膜厚でコーティングできるため、部品間のクリアランスや寸法への影響を抑えながら、必要な箇所を保護できます。狭い間隔で部品が配置された基板にも適用しやすい点が特徴です。

また、常温で乾燥できるため、加熱工程を必要とせず、基板や実装部品に熱による負荷を与えにくいメリットがあります。塗布後の再作業にも対応できるため、修理や部品交換などのリワークが必要になった場合にも扱いやすい仕様です。

導入分野としては、実装基板におけるマイグレーションの防止をはじめ、リチウム電池の電解液から回路を保護する用途や、コネクタの狭ピッチパターンにおける腐食防止などが挙げられます。

電子機器の小型化・高密度化が進むなかで、薄膜で基板を保護したい用途に適したコーティング方法です。

 

7-1.導入事例

性能データ・試験結果は技術文献でご覧いただけます。

回路基板・電子機器への応用技術データはこちら

用途に合う製品のご相談・無料サンプルの依頼はこちら

技術文献の一覧はこちら

FAQ

Q 基板コーティングは必要ですか?

Q フッ素系コーティングと他のコーティングの違いは?

Q フロロサーフはどのような基板に使えますか?



コラム

フッ素樹脂とは?用途や種類・フロロサーフとの違いについても解説!

フッ素樹脂は、工業で広く扱われている素材です。耐薬品性・耐熱耐寒性・表面平滑性・耐摩耗性など優れた性質があるため、さまざまな分野で活用されています。

防水スプレー選び方や使い方ノウハウをご紹介!|身近な撥水撥油加工の工業的実用例についても解説

撥水撥油加工は水や油から製品を保護する機能により、重要な役割を果たします。

撥水性とは?防水との違いや水を弾く原理・性能などを詳しく解説

撥水性を考える上で、「防水」「耐水」との違いに疑問を持つ方も多いでしょう。

【注意点】防湿処理のコーティング方法|基板のコーティング剤の選び方

電子回路基板やプリント基板の品質を保つうえでは防湿コーティングは重要な工程の一つです。防湿コーティング剤には様々な商品があり、塗布方法も多種多様なため、どの製品を選べばよいのか悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

プリント基板用防湿コーティング剤の種類や特徴について解説!

様々な電気機器に使用されるプリント配線板や実装部品では、以下のような物質の存在や現象が回路の短絡や断線、電流漏洩などの不具合を引き起こすことがあり、機器の動作不良や故障の原因となります。

フッ素樹脂加工とフッ素コーティング|活用シーンと使用時の弱点・対策

多様な性能を持つフッ素樹脂加工やフッ素コーティングは、自動車・住宅の外壁・電子部品の基板保護など、広く使用されています。そのため、導入を検討している企業様も多いでしょう。

フッ素コーティングとは?常温コーティング剤に使われるフッ素樹脂が持つ特性と安全性について解説!

フッ素樹脂コーティングは、多様な特性を持っていることが特徴です。その特性によりいろいろな問題解決ができる分野も広く、様々な製品機能の向上が期待できます。

撥油とは?撥油加工の仕組みや実用例などについて解説

多様な性能を持つフッ素樹脂加工やフッ素コーティングは、自動車・住宅の外壁・電子部品の基板保護など、広く使用されています。

無料サンプルを
依頼する
無料相談